【パレスチナ報告】イスラエル、核と寄り添う国

福島の原発事故直後に忽然と姿を現したイスラエル軍の野戦病院。=2011年、三陸沖 撮影:田中龍作=

 ネタニヤフ政権の極右閣僚がメディアのインタビューに「核兵器をガザに落とすことも選択肢」と答え、日本のマスコミ各社が即座に反応した。田中は別段驚きもしなかった。

 ガザボーダーのイスラエル領はキブツの田園地帯が広がる。ガザは東西に10キロしかない。もし核兵器をガザに落とせば、イスラエルの農業は大打撃を受ける。

 日本の常識だと、「だからイスラエルはガザに核を使ったりしないよ」となるが、この国はそんなに甘ちょろくない。

 福島の原発事故が起きると、イスラエル軍の野戦病院が三陸沖に登場した。別に負傷した福島住民の手当をしているわけではない。

 原発のある大熊町と三陸沖との距離を、イスラエルにとってのガザ、イランと比較するのはやや難がある。ただ放射能に関するデータを取ることは十分に可能だ。

 民族が根絶やしにされかけた経験を持つイスラエルは大量破壊兵器に敏感だ。


イスラエル軍の空爆を受けガザから立ち上る黒煙。きのこ雲とならないことを祈るのみだ。=10月、ガザボーダー 撮影:田中龍作=

 ハマスは「ユダヤ民族を地中海に追い落とす」と決意表明し、イランのアフマディネジャド大統領(当時)は「イスラエルを地図から消し去る」と呼びかける。

 ガザにはかつて核技術者がエジプト経由で送り込まれたことがあったが、イスラエルが暗殺した。

 イランは核兵器の開発を着々と進め完成間近とまで言われる。イスラエルが完成前にイランの核施設を叩くことは既定方針である。

 こんなことがあった。サダム・フセインのイラクが開発を進めていた原子炉が完成の域に達しつつあることをモサドがキャッチした。1981年のことだ。

 イスラエル軍はバグダッド近郊にあった「原子炉オシラク」を攻撃、破壊した。今のように精密誘導弾などない時代にパイロットが手動で爆弾を投下し、命中させたのだ。

 イスラエルは核兵器は保有するが原発は持たない。原発事故を経験していながら、国土の海岸沿いにべったりと原発を置く東アジアの間抜けな国とは、国防意識が月とスッポンほど違うのだ。

 イスラエルはよくも悪しくも核と寄り添う国である。

   ※
田中は人類史に残る大虐殺が起きる恐れのあるガザを取材するためにパレスチナに赴きました。

危険手当を伴うためにドライバーに日額1千ドル(約14万円)も払わなければなりませんでした。

飛行機代、ホテル代で借金まみれとなっているところに、巨額の取材費がのしかかっているのです。

御支援(カンパ)何とぞお願い申し上げます。

連絡先:tanakaryusaku@gmail.com

田中龍作の取材活動支援基金

■郵便局から振込みの場合

口座:ゆうちょ銀行
記号/10180 番号/62056751

■郵便振替口座

口座記号番号/00170‐0‐306911

■銀行から振込みの場合

口座:ゆうちょ銀行
店名/ゼロイチハチ・0一八(「ゆうちょ銀行」→「支店名」を読み出して『セ』を打って下さい)
店番/018 預金種目/普通預金 口座番号/6205675 口座名/『田中龍作の取材活動支援基金』

■ご足労をおかけしない為に

ゆうちょ銀行間で口座引き落としができます。一度窓口でお手続きして頂ければ、ATMに並んで頂く手間が省けます。印鑑と通帳をお持ち下さい。
記号/10180 番号/62056751 口座名/タナカリュウサクノシュザイカツドウシエンキキン

連絡先
tanakaryusaku@gmail.com
twitter.com/tanakaryusaku

パレスチナ(ガザ・西岸)