ヘルソン州が激戦地となったことを納得させられる光景にのっけから出くわした。同州入口に差し掛かると目に飛び込んできたのは、地雷の除去作業だった。
ヘルソンが地雷源となった理由はこうだ―
ロシア軍にとってウクライナ南部最大の戦略要衝だったヘルソンには、ドニエプル川からクリミア半島に水を引き込む運河の水門がある。
ロシア軍によるクリミア侵攻(2014年)に対する報復でウクライナは、この水門を閉じた。クリミア半島は水源の70%以上を失った。ロシアは水門を奪還しなければならなかったのである。
もう一つ。北上してキーウを狙うロシア軍が足場にしたかったミコライウを陥れるための出撃拠点でもあった。
ロシアにとってはヘルソンを奪取し死守する必要があったのである。
ヘルソンをウクライナに渡したくないロシア軍は広大な範囲にわたって地雷を敷設した。
内務省のマリー・アコビャン副大臣によれば、500ha(=東京ドーム107個分)で地雷探知機が反応を示したという。あくまでも16日現在。地雷探知は今なお継続中である。
アコビャン副大臣は「地雷が電気、水道施設の周辺に集中しており、復旧を遅らせる最大の原因となっている」と話した。これまでに農民や市民約100人が地雷の犠牲となっている。
同副大臣は「世界で最も地雷まみれになった国になるだろう」「戦争がすぐに終わっても地雷からの復旧は5年~7年」と憂慮する。
ロシア軍にとってヘルソン以上に譲ることができない東部ドンバスから撤退するような事態となった場合-
住民を上回る数の地雷が敷設されるようなことになりはしないだろうか。
~終わり~