【ヘルソン報告~下】内務省副大臣「世界で最も地雷にまみれた国になる」

地雷源マークごしに除去作業を見る。=16日、ヘルソン近郊 撮影:田中龍作=

 ヘルソン州が激戦地となったことを納得させられる光景にのっけから出くわした。同州入口に差し掛かると目に飛び込んできたのは、地雷の除去作業だった。

 ヘルソンが地雷源となった理由はこうだ―

 ロシア軍にとってウクライナ南部最大の戦略要衝だったヘルソンには、ドニエプル川からクリミア半島に水を引き込む運河の水門がある。

 ロシア軍によるクリミア侵攻(2014年)に対する報復でウクライナは、この水門を閉じた。クリミア半島は水源の70%以上を失った。ロシアは水門を奪還しなければならなかったのである。

 もう一つ。北上してキーウを狙うロシア軍が足場にしたかったミコライウを陥れるための出撃拠点でもあった。

 ロシアにとってはヘルソンを奪取し死守する必要があったのである。

対戦車地雷。爆発した時は地震と錯覚するほど地面が揺れる。=16日、ヘルソン近郊 撮影:田中龍作=

 ヘルソンをウクライナに渡したくないロシア軍は広大な範囲にわたって地雷を敷設した。

 内務省のマリー・アコビャン副大臣によれば、500ha(=東京ドーム107個分)で地雷探知機が反応を示したという。あくまでも16日現在。地雷探知は今なお継続中である。

 アコビャン副大臣は「地雷が電気、水道施設の周辺に集中しており、復旧を遅らせる最大の原因となっている」と話した。これまでに農民や市民約100人が地雷の犠牲となっている。

 同副大臣は「世界で最も地雷まみれになった国になるだろう」「戦争がすぐに終わっても地雷からの復旧は5年~7年」と憂慮する。

 ロシア軍にとってヘルソン以上に譲ることができない東部ドンバスから撤退するような事態となった場合-

 住民を上回る数の地雷が敷設されるようなことになりはしないだろうか。

命がけの地雷除去作業。すでに除去作業員25人以上が死亡している。=16日、ヘルソン近郊 撮影:田中龍作=

   ~終わり~

田中龍作の取材活動支援基金

■郵便局から振込みの場合

口座:ゆうちょ銀行
記号/10180 番号/62056751

■郵便振替口座

口座記号番号/00170‐0‐306911

■銀行から振込みの場合

口座:ゆうちょ銀行
店名/ゼロイチハチ・0一八(「ゆうちょ銀行」→「支店名」を読み出して『セ』を打って下さい)
店番/018 預金種目/普通預金 口座番号/6205675 口座名/『田中龍作の取材活動支援基金』

■ご足労をおかけしない為に

ゆうちょ銀行間で口座引き落としができます。一度窓口でお手続きして頂ければ、ATMに並んで頂く手間が省けます。印鑑と通帳をお持ち下さい。
記号/10180 番号/62056751 口座名/タナカリュウサクノシュザイカツドウシエンキキン

連絡先
tanakaryusaku@gmail.com
twitter.com/tanakaryusaku

ウクライナ