それは警察官僚出身者が陰の総理と呼ばれることと密接に関連する。国民が気付かないうちに、時代は一気に特高警察が猛威をふるった戦前に逆戻りしつつある。
事件はきょう午後、官邸前で起きた。「学術会議への人事介入」に抗議するプラカードを持って朝から立っていた女性が、横断歩道を渡ろうとしたところ、制服警察官に止められたのである。
女性はスタンディングを終えて帰宅するため「溜池山王駅」に向かうつもりだった。
すぐそばでハンストしていた菅野完がすっ飛んで来て警察を質した。「青信号なのに(彼女は)何回待てばよいのか?」。
「部隊長」と名乗る警察官が対応した。すぐ傍を10人位の部下が固め、30人以上の制服警察官が遠巻きにした。
警察(部隊長)「警備上の阻止」
菅野「だったら全員止めろ」
確かにフツーのサラリーマンやOLが止められることはない。
菅野「通す人間と通さない人間を警察官が決めているのか?」
警察「通す通さないは麹町署が決めている」
菅野「朝から『お早うございます』と言ってるだけの人(止められた女性)が官邸に危害を加える可能性があるのか?」
警察「一人通すと『俺も俺も』と言ってくる。彼女だけでなくても危害を加えようとする人が『俺も』と通る可能性がある」
菅野「俺の所に来る人間は危害を加えるのが前提なのか?」
警察「それを判断するのは麹町署」「Twitterを見て菅野さんの応援に行こうという人が続々と来ていることを把握している。ウチらは官邸に危害を加えそうな者をここで止めている」
(誤解を招かないために付言すると、菅野はTwitterのアカウントを凍結されているため、自分で呼びかけることはできない。)
菅野「ここでプラカードを持っている人間は官邸に危害を加える可能性が潜在的にあるということか?」
警察「可能性がないとは言えない」
わずか10分あまりのやりとりだったが、田中は背筋が寒くなった。
政権に異論を唱えるプラカードを掲げれば、官邸に危害を加える者と見なされ、憲法で保障された移動の自由(横断歩道を渡る)も制限される。
そして、それらを決めるのは「所轄の警察署」である・・・ということを一警察官が臆面もなく言い始めた。
「今、目の前で通す人間と通さない人間を決めたんだよ。思想弾圧じゃないか」。
菅野の指摘が時代を言い当てた。
~終わり~