東京地裁は先月26日、経産省前の脱原発テントに明け渡しを命じる判決を言い渡した。判決には仮執行が付いていることから国はいつでもテントを強制排除できる。
緊急事態を受け、テント前できょう記者会見が開かれた。
「いつ(強制執行に)来てもおかしくない、緊迫している」。被告(テント代表)側代理人弁護士の大口昭彦氏が冒頭から危機感を示した。
明日未明に、執行官が夥しい数の制服警察官と作業員を連れてテントを強制排除に来ても不思議はないのだ。
焦点は国が強制執行に乗り出した時のテント側の対応だ。テントは原発再稼働に反対する市民が24時間体制で守っている。
テント共同代表の渕上太郎氏は「撤去を拒否する」と明言した。そのうえで機動隊の攻撃には「したたかに柔軟に対応していきたい」とした。
テントを守る市民の層は硬軟幅広いことから、対応を予め一つに絞ることはできないという意味だ。
「自主撤去はあるのか?」という記者団の質問に渕上氏は次のように答えた―
「テントはどういう力によって支えられてきたのか? (テントを維持してきた)1271日を相当深刻に考えていきたい。原発廃止を願う全世界の声がそこにある」。簡単には明け渡せないという意思表示でもある。
事故の原因究明も果たせず、東電は補償を満足にしていない。それでも国は原発を再稼働させる。これこそ不法ではないだろうか。
「原発事故がなかったらこのテントが建っていることはなかった」。裁判でも貫かれた渕上氏の一貫した主張だ。