容赦なく押し寄せる物価高の波をかぶり、庶民はあの手この手で生活防衛する。庶民生活に欠くことのできないスーパーなどは、痒い所に手が届くようなサービスを展開する。
都内のあるスーパーでは毎週水曜日がパンの「安売りデー」だ。
一律3割引き。定価124円の惣菜パンが87円。定価158円の食パンが111円・・・思い切り買えるのだ。
オニギリなどのご飯ものと比べるとパンは日持ちがいい。安い日に買っておけば一週間くらい食いつなげる。
パンは調理しなくてもそのまま食べられる。コメのように炊いたり保温したりするための光熱費を気にしなくてもいい。貧乏人には有難いことだらけだ。
押し寄せた買い物客は、我先にとお目当てのパンを買い物カゴに入れる。あっと言う間に山のようにパンで一杯になる。
育ち盛りの子どもがいる家庭はいくつあっても足りないだろう。
お年寄り夫婦は「冷凍にしておこう」と言いながらシュガートーストや調理パンを買い物かごに入れていた。
カゴ一杯に食パンを入れた高齢の男性を見た時は、あすの自分を見るようで胸を締め付けられた。
女房が言った。「この辺の人たちには、パン3割引きの曜日が頭に入ってるに違いないよ」
「私もそうだからね」。
~終わり~
◇
《読者の皆様》
昨年末から借金が続いております。赤字に次ぐ赤字です。