この国の貧困は一体どこまで浸透しているのだろうか。持ち家に住みながら衣料を買う資力がないという人もいるのだ。
60階建てのサンシャインシティーが見下ろす東池袋公園で、きょう2日、衣料と靴の配布があった(主催:NPO法人TENOHASI)。
2トントラック一杯の衣料と靴は、東京を中心に全国から寄せられた。主催者が買い付けた物もある。
食料配布ほどではないが、配布開始1時間近く前から長蛇の列ができた。
「みっともない恰好をしたくないからね」。こう話すのは年金生活者の男性(71歳・阿佐ヶ谷在住)だ。持ち家暮らしという。
男性は「服は3年以上買っていない」と話す。この時、身に着けていた半袖のカッターシャツは5年以上着用している。ズボンは3年以上だ。膝には継ぎ当てがあった。
30代の男性(八百屋の店員)は「3年以上服を買っていない」という。「服は高いからね。ここだと1時間も並べば服が手に入る」と話す。
靴は衣服のすぐ正面に並べられた。一人が靴と服を同時にもらうことはできない。もう一回列に並び直さなくてはならないのだ。
48歳の男性(無職・生活保護利用者)は、まずスニーカーを確保した。そのうえで「服は着がえなければならないからね。需要が高いんだよ」と解説した。
主催者が用意した衣類や靴は1時間15分でほぼはけた。
ユニクロが高級ブランドと言われるご時世。服は庶民にとって高嶺(値)の花となった。田中家は今年に入って一着の服も買っていない。
企業は過去最高の収益をあげたというが、富が労働者に還元されていないことだけは確かなようだ。
~終わり~
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