「8月から大木の伐採開始予定」。広告で買収したマスコミのアドバルーンが上がるなか―
神宮外苑の再開発を強行する三井不動産の株主総会が、きょう29日、日比谷の帝国ホテルであった。
「貴重な都会の自然を守れ」。低木も合わせると3千本にも及ぶ樹木の伐採に反対する市民が、株主総会会場前で抗議のスタンディングをした。
三井不動産は全国紙(朝日・読売・日経)に全面広告を打ち、「緑を増やします」と嘯(うそぶ)いた。
「みどりの割合を約25%から約30%に、樹木の本数は1904本から1998本に増やします」と言うのである。
子供ダマシだ。古木巨木に代えて造園業者から買うヒョロヒョロの木をいくら植えたところで、うっそうとした森は戻らない。
神宮外苑は明治天皇の遺徳を偲んで大正15年(1926年)に創建された。押しも押されもせぬ天皇家ゆかりの施設である。
いまや三井不動産は行政(東京都)はおろか天皇家をも支配下に置く権勢となった。
きょうは東京都による再開発認可の取り消しを求める訴訟の第一回目の口頭弁論があった。
同時に提出されていた伐採の執行停止を求める訴えはすでに却下されており、裁判の行方は楽観を許さない。
神田のイチョウ並木のように行政が遮二無二(しゃにむに)伐採したがっていても、住民が体を張って止めているケースがある。
外苑もその時期に来ている。いやもっと危機的である。
秋篠宮文仁親王は伐採に反対しているとされる。皇室をも巻き込んで国民的な運動を繰り広げなければ、神宮の森は姿を消す。
~終わり~
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