
民族排撃デモのカウンターに立つ鈴木邦男氏。「仲良くしましょう」のプラカードを手に。=2013年、新大久保 撮影:田中龍作=
民族派右翼の草分け的存在だった鈴木邦男・元一水会代表の訃報に接した。
今からちょうど10年前の光景(写真上段)を思い出す。在日外国人の排斥を叫び、日の丸を林立させながら街を練り歩く「ヘイトデモ」のカウンターに鈴木氏は立っていたのである。
「仲良くしましょう」…氏は日本語とハングルで書かれたプラカードをレイシストたちに正対させていた。
前後して、国会内で開かれた「民族排撃デモ」への抗議集会(写真下段)で鈴木氏は次のように発言している―
「日の丸は日本のやさしさ寛容さを表している。右翼の中にも在日は結構いるが、差別は一切ない。『出て行け』『帰れ』は間違っている」。
民族派の面目躍如だった。
田中は昨年末から「超ヘイト」の地を歩き続けている。他民族への排撃的な姿勢が大量虐殺を招いたのである。憎しみは高まりこそすれ和らぐことはない。
戦争は不寛容から始まる。鈴木氏が説いた「寛容」「仲良くしましょう」の精神を、今こそ噛みしめたい。

「ここで在特会とやり合いましょう」と話す鈴木邦男・一水会顧問。=2013年、参院会館 撮影:田中龍作=
~終わり~