在日韓国・朝鮮人に対する侮蔑的な言葉を連呼しながら東京の新大久保や大阪の鶴橋を練り歩くレイシストたち。代表格は在特会(在日特権を許さない市民の会)だ。彼らの反社会的行動には、当の在日コリアンばかりでなくごく普通の日本人も眉をひそめる。
14日、国会議員有志(※1)が呼びかけて「排外・人種侮蔑デモに抗議する国会集会」が参院会館で開かれた。法律家、ジャーナリスト、民族派、作家も参加し見解を述べた。
在特会の取材を続け、著書に「ネットと愛国~在特会の「闇」を追いかけて~」があるジャーナリストの安田浩一氏が口火を切った―
「在日への敵意をドライブとして街宣しネット上で支持を集める。より下劣に、より激しくすることで一定の支持を得られることを知っている。思想的な足場がないので運動(街宣)をやめてしまったら、運動自体がなくなってしまう。彼らは右翼でも保守でも民族派でもない。(単なる)レイシストだ」。
安田氏は話を続けた。「政治の世界はもっと(敏感に)このことに気付くべきだった。(出席している)政治家の数が少ないこと(※2)に落胆している。彼ら(在特会)は典型的な草の根。黒幕なんかない。通帳を見たが、500円、千円ばかり」。
法律家の金尚均氏(龍谷大学法科大学院教授)は、在特会が09年、京都の朝鮮学校を襲撃した時に居合わせた。
ドイツでは民衆扇動罪があり、ヘイトスピーチや民族排撃デモは法律で禁じられている。金氏は「日本でも早急に議論する必要がある」と強調した。
在特会はじめレイシストたちは好んで日の丸や旭日旗を掲げる。このため右翼と受け取られることがある。迷惑しているのが実在の右翼や民族派右翼だ。
一水会顧問の鈴木邦男氏はレイシストの愚かしさを嘆く。「日の丸がかわいそうだ。日の丸は日本のやさしさ寛容さを表している…(中略)右翼の中にも在日は結構いるが、差別は一切ない。“出て行け、帰れ”は間違っている。民族主義でも右翼でもない」。
一水会代表の木村三浩氏は怒りを込めて発言した。「日本国に愛着を持つ一人の人間として(在特会に)非常に怒りを持った…(中略)右翼は弱い者いじめをしない。大使館とか公の所で抗議した」。
民族排撃デモへのカウンター組織である「レイシストしばき隊」の野間易通さんは次のように話す。「院内でこういう集会が開かれた意味は大きい。京都の朝鮮学校襲撃事件の時も同じように集会が開かれたりしたが、すぐに忘れ去られてしまった。その間奴ら(在特会)がひどくなってきた。継続して(抗議を)やってほしい」。
差別発言というタブーに触れたくないため、マスコミはこの問題をほとんど報じない。普通の人が知らないうちに事態はますます深刻化していく。
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(※1)国会議員有志(呼びかけ人):
照屋寛徳(社民)、平山誠(みどり)、藤谷光信、ツルネン・マルテイ、江崎孝、金子洋一、難波奨二、徳永エリ、田城郁、斎藤嘉隆、有田芳生(民主)
(※2)出席した国会議員は4人