
捜査員たちは遺体を掘り出すとすぐに新しい遺体の掘り出しに追われていた。《戦争の現実を伝えるために敢えて凄惨な写真の公開に踏み切りました》=18日、イジューム 撮影:田中龍作=
人間はどこまで残酷になれるのだろうか。どれくらいの規模の殺戮になるのだろうか。想像もつかない。
450の墓があることが確認されたが、1つの墓からウクライナ軍兵士17人の遺体が出てきたりする。
ハリコフ州南端の街イジュームの幹線道路脇の松林にマスグレーブはあった。松林に入ると、まずロシア軍陣地が目に飛び込んでくる。夥しい数のトーチカだ。
ロシア軍陣地の真裏がマスグレーブとなっていた。腐臭が鼻を突いた。
遺体にハエが山のようにたかっていた。白骨化したのもあれば、皮膚の張りがまだあるのまで様々だ。強烈な腐臭に嘔吐する捜査員もいた。
ロシア軍は殺害した住民やウクライナ軍兵士を自軍陣地の裏に運んで来て埋めたものと見られる。

次から次へと遺体が掘り出されていった。そこにあるのは命の軽さだった。=18日、イジューム 撮影:田中龍作=
ハリコフ地検トップのソコロフ・エフゲニ検事正によればー
これまでに見つかった遺体は110体。最も古い遺体は占領してすぐの4月1日に埋められたものと見られる。最も新しい遺体は9月2日。
後ろ手で縛られ拷問された跡のある遺体もあった。
惨劇はロシア軍の5か月余りにわたる占領がもたらしたとしか言いようがない。
いつものことだが、ロシア軍陣地には未使用の砲弾があちこちに残されていた。散乱ではない。まとまってあるのだ。
ウクライナ軍に急襲され算を乱して敗走したことが伺える。
最も新しい遺体は9月2日に埋められたものだった。ウクライナ軍の攻勢が遅ければ、遺体はさらに増えた。
国際秩序を守らぬ無法者による殺戮を止めるのは武力しかない。残念なことだが、これが現実だ。

戦争犯罪を訴追する検事がマスグレーブの発掘を見守った。=18日、イジューム 撮影:田中龍作=
~終わり~
◇
読者の皆様。
激戦地の東部への取材は莫大な費用がかかります。通訳とドライバーの宿泊費はもとより危険手当も出さなければなりません。
取材を敢行すべきか迷いましたが、思い切って踏み出しました。恐ろしいほどの大赤字となっております。ご支援何とぞ御願い申し上げるしだいです。
↓