ドンバスの前線で戦うウクライナ軍兵士2人と食事を共にする機会があった。うち1人はビールを飲みながら語ってくれた。
食料や物資に乏しい東部にあって、ビールは金の泡である。
2人によれば最前線は砲撃と砲撃の応酬なのだそうだ。前線で戦車や自走砲をよく見かけるのはこのためだろう。
白兵戦の時代ではないということか。ロシア軍の侵攻が迫っていた1月、2月上旬ごろは、市民がカラシニコフを手に軍事訓練を受けていた。
老人や学生はモロトフカクテル(火炎瓶)作りに精を出した。「B29 と竹槍」の世界である。
田中は白兵戦がキーウの市街地で起きることを危惧した。無辜の民間人に多数の死者が出るからだ。
ところが戦争が始まってみると欧米からの武器供与もあり、ウクライナ軍は善戦した。市民がカラシニコフを撃つことも、学生がロシア軍に火炎瓶を投げることもなかった。
欧米から武器供与が滞るようになれば、今度はロシア軍が反転攻勢に出るだろう。
市街地での白兵戦は可能性ゼロとなった訳ではない。
~終わり~
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