コロナ下にもかかわらず新聞テレビをジャックした自民党総裁選。茶番劇ではあるが、この国の最高権力者を決めるイベントである。
権力ウォッチが仕事の田中龍作は総裁選会場となった都内のホテルに出かけた。
結果は岸田文雄・前政調会長が河野太郎・行革担当相を下して、新総裁となった。
どんな綺麗ごとを並べても、最大派閥細田派(安倍派・96人)と第二勢力である麻生派(56人)の支持がなければ岸田氏が、総裁に選ばれることはなかった。
麻生派から顧問として岸田派陣営に入り総裁選挙を取り仕切った甘利明・税制調査会会長が囲み会見に応じた。
朝日新聞:岸田氏が議員投票でリードした原因をどのように見ているか?
甘利氏:岸田新総裁は挫折を経験して人間が一回り大きくなった。
TBS:岸田政権にどのように(政策を)進めてほしいと思うか?
甘利氏:まずはコロナの不安を解消する・・・(中略)新しい資本主義。世界が二極化している中でどう人心を集めてゆくかが課題。中間層をぶ厚くしていく。
TBS:岸田体制をどのように支えてゆくか。
甘利氏:私が決めることではないが、どうなってもそのポジションで全力を尽くしたい。(甘利氏は岸田政権で幹事長に就くとの下馬評もあり、氏はまんざらでもなさそうな表情だった)
記者クラブならではのヨイショ質問が続いた。
田中は「岸田政権では安倍スガ政治を刷新できないのではないかとの不安の声もあるが?」とぶつけた。
甘利氏は「改革には一人で突っ走るヤミクモなものもあれば、志を同じゅうする人とコンセンサスを取りながら行く手法もある。どちらが成果が出るか?それは後に歴史が示す」。
甘利氏は河野氏と岸田氏の手法の違いを挙げて、田中の質問を上手に煙に巻いた。
間もなくに迫る総選挙を考えれば、改革を全面に打ち出す河野氏の方がうってつけだが、安倍麻生支配を脱することができない。そこに自民党の限界がある。変われないのだ。
記者クラブは派閥の立場からの質問に終始する。十年一日、いや半世紀一日のごとく同じ質問を繰り返している。まったく変わっていない。
安倍スガ政治を引き摺る岸田政権は長続きすまい。来年の今頃、また同じ光景が展開されるような予感がする。
~終わり~