都民の命と健康をカネ儲けの道具にする―
小池知事が宣言したように聞こえた。きょう28日始まった東京都議会第3回定例会の所信表明演説で知事は「都立公社病院の地方独立行政法人化に伴い、東京都立病院機構の設立に向けた定款を整備します」と述べた。
いかにも役所独特の言い回しでわざと分かりにくく表現しているが、8つの都立病院と6つの公社病院を独立行政法人化するというのである。独法化すれば公立病院のような採算度外視の治療は許されない。
2000年初頭に独法化された東大病院の元看護師によれば、病棟は売り上げ目標を達成するために手術を早めたり、薬を大量に投与したりするのだという。医は算術となるのだ。
コロナ下で、救えるはずの命が救えなかった。保健所はじめ公立の医療機関は、拡充されこそすれ、削減されることがあってはならない。
議会初日に合わせて医療従事者たちが、東京都庁を訪れ「(独法化のための)都立病院機構定款について」の議案を撤回し、廃案とすることを要請した。1万3千余筆の署名を添えた。(主催:「都立病院つぶすな!」署名運動 呼びかけ人一同)
都側は病院経営本部が対応した。
介護士や元看護師が「都庁は医療崩壊の現実をどう受け止めているのか」「都立病院をなくしたいんですか」などと追及した。
病院経営本部は「役割は独立行政法人でも果たせる」「迅速に機動的に対応する」と判で押したように内容のない回答を繰り返した。
要請行動をかけた一行の中に都立墨東病院の患者がいた。「今回(コロナ)で都立病院の大切さを思い知っているはずなのに、(独法化するとは)バチが当たる。税金払うのを止める」と語った。
~終わり~