バッハの宿泊先で「帰れ」と叫ぶ 総督閣下に近づけさせまいと必死の警察

「行かせてくれ」「向こう側に回って下さい」。警察は力づくで阻んだ。=10日、ホテルオークラそば 撮影:田中龍作=

 IOCバッハ会長が宿泊するホテルオークラ。米国大使館のすぐ傍にそびえる日本最高級ホテルである。

 警備は厳重だ。ロビーにはガードマンはもちろん私服警察官がウヨウヨいて、入館者に目を光らせていた。田中がトイレに行くと、私服が手前まで列をなして付いてきた。

 一国の国家元首でも、ここまでの数の警察官はいない。日本を植民地支配する宗主国の総督だけのことはある。

 玄関そばで案内をする青年は学生だった。警備会社に雇われたアルバイトだという。ワクチンはまだ打っていないと答えた。

 オリンピックは私たちの命と健康を危険にさらし生活を危うくする。それを強行させるのがIOCであるということは国民の共通認識となった。

 人々の怒りを背負うようにして市民グループが、きょう10日、「バッハ帰れ」の抗議に出かけた。(呼びかけ:五輪マフィアを退治する市民有志)

 行く先はバッハの宿泊先であるホテルオークラだ。

この後さらにもう一個小隊が増強され、警察のピケは二重になった。=10日、ホテルオークラそば 撮影:田中龍作=

 宗主国の総督閣下に植民地下の者どもを近づけてはならない。警察は距離にして100㍍ほど離れた場所にデモ隊を留め置こうとした。

 ふざけた話である。こんな遠くからでは抗議の声は届かない。コンサート用のスピーカーを持って来ても難しいだろう。

 デモ隊はホテルオークラに向けて進もうとした。警察は隊列を作って立ちはだかった。

 デモ隊は警察のピケ線を破って前に進んだ。まずは、バッハが宿泊するホテルオークラのタワーの裏側まで行った。警察はここでまたデモ隊を留め置いた。

 「バッハにしっかり声が届くように」。デモ隊はホテルの表側まで進もうとした。またもや警察が立ちはだかった。部隊を増強しピケ線を2重にした。

五輪のせいで死者が続出するだろう。ダイインする参加者も。=10日、ホテルオークラ裏 撮影:田中龍作=

 正面で抗議の声をあげられては警備の失敗となる。警察も必死だった。折衷案としてハス向かいで抗議の声をあげることになった。

 首が痛くなるほど見上げる最上階のインペリアルスイートに陣取る総督閣下に、デモ隊の声は届いただろうか。

 オリンピックさえなければ、コロナの感染はもっと封じ込められた。補償も手厚くできた。

 バッハこそ人道に対する罪でハーグの国際刑事法廷に起訴されて当然なのだ。

    ~終わり~

      ◇
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