晴海の五輪選手村が、きょう13日、開村した。田中は入村する選手たちを撮影しようと晴海まで出かけた。
晴海は拙宅の近所だ。選手村ができる前、晴海ふ頭までの道は散歩コースのひとつだった。選手村となってからは、幾度も下見に出かけた。
開村初日の選手村には、ガードマンや全国から動員された警察官が大量に配置されていた。
選手村と下界を隔てるフェンスの外で、田中は選手たちの到着を待っていた。
するとガードマンが居丈高に言った。「そこに居てはダメです」。
田中がいたのは天下の公道だった。何度も言うが、選手村の敷地の外である。
田中が「ここは公道ですよ」と言い返すと、ガードマンは「ダメです。そうなってるんです」と厳しい口調で言った。
田中が「組織委がそう言ってるのですか?」と尋ねると、ガードマンは「そうです」とキッパリとした口調で答えた。
別のガードマンも「あっちに行って下さい。そこにいると不審人物に見られますよ。警察が来ますよ」と言い放った。
制服警察官が田中の傍を幾度も通ったが、警察官は何も言わなかった。田中が違法なことをしていれば警察から指導があるはずだ。
しばらくすると飼い犬を連れた初老の男性が通りがかった。男性は「住みにくい地域になったね」と顔をしかめながら話しかけてきた。
男性はガードマンに「ここは通ってはダメだ。向こうに回れ」と言われたそうだ。
五輪組織委員会の入る晴海トリトンでIOCバッハ会長の到着を待った。バッハは橋本聖子会長との面会を予定していた。
ロビーにいると組織委の職員が飛んで来て「ここに居ないでください」「ここで撮影しないで下さい」と上から目線で告げた。
「ここは(複合ビルの)ロビーだ。何故あなたたちに、そんなことを言われなければならないのか?」。田中は抗議した。
すると男性職員は「そうなってるんです」と押し付けるように言った。選手村のガードマンと同じセリフだ。
別の職員からは「ビル管理会社の許可を受けましたか?」と問われた。
羽田空港でも同じだった。田中と横田一氏がSECOMの職員に話を聞いていると、五輪組織委の職員が駆け付けてきた。
職員はSECOMとの話を遮って「取材でしたら組織委員会の広報を通して下さい」。
田中は「SECOMの人に話を聞いているのですよ。なぜ組織委が出てくるのですか?」。
職員は田中の問いには答えずに「空港の許可を受けましたか?」と埒外の言葉を投げてきた。
晴海トリトンで言われた「ビル管理会社の許可を受けましたか?」と同じである。
五輪組織委の職員は総じて居丈高だ。自分たちの見解が、さも社会の決まりごとのように言う。
組織委はそのうち国会も通さずに法律を作り始めるのではないだろうか。
~終わり~
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