聞きしに勝るザルだった。バブルなんぞ最初からなかったのである。海外からのオリンピック関係者の入国が相次ぐ羽田空港を取材した。
ルフトハンザ機の到着を告げる館内アナウンスから2~3時間経つと抗原検査を済ませた選手、ジャーナリスト、記録係たちが、三々五々、到着ゲートからロビーに出て来た。
抗原検査の結果が出るのに個人差があるからだろう。陽性者はゲート内に留め置かれるので、出てくるのは、陰性者だ。
しかし陰性イコール、コロナウイルス保有者で「ない」ということにはならない。保有者ということもあるのだ。
スウェーデンのカヌー選手がゲートを出て来ると、すぐにスタッフがIDを確認し、そのまま専用タクシー乗り場まで同行、選手を車に乗せた。
スタッフたちが隔離されていなければ、彼らがウイルスを家族に移し周辺に撒き散らす恐れがある。
ジャーナリストはゲートを潜った後、糸の切れたタコとなる。
イギリスのジャーナリスト男女2人は、到着ロビーのタリーズでコーヒーを飲んでいた。
「ここは立ち入り禁止区域ではないのか?」と問うと、女性の方が「ここはバブルの中だ」と答えた。平然とした表情だった。それどころか「アンタ何言ってんの?」と顔に書いてあった。
女性ジャーナリストは「政府がそう説明している」と続けた。
田中が「政府とは日本政府か?」と確認すると「日本政府だ」と答えた。
到着したジャーナリストたちは、トイレもATMも一般の利用者と同じである。
選手は真っ直ぐタクシーに乗せられ、選手村の開村(13日)までは、組織委の用意したホテルに宿泊するが、外出は事実上自由だ。
選手村に入っても個室レストラン、コンビニに行ける。
ジャーナリストは選手以上に自由である。夜の歌舞伎町で豪遊している姿も確認されている。
菅首相が決まり文句のように言う「バブルで外部と遮断する」は、日本入国時からウソだったのである。
コロナウイルスが撒き散らされ、新たな変異株さえ生まれる。東京発パンデミックが始まろうとしている。
~終わり~
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