来日中の国連ミャンマー事務総長特使がきょう、都内で会見し、「ミャンマー情勢は今後、非常に重要な局面を迎えるだろう」と警鐘を鳴らした。
クリスティン・バーグナー国連特使によると、このままでは手製の武器で武装した各民族による武装組織と国軍の衝突が激化する。そればかりでなく、非暴力抵抗運動の影響で医療体制も崩壊、飢餓が発生することも予想されるという。
バーグナー特使は茂木外務大臣や明石康元国連事務次長、自民党議員ら関係者と相次いで会談したが、何か著しい進展があったという話はなかった。
日本のマスコミは会見に参加もせず、リモートで質問した。NHKは「ミャンマー情勢における日本のユニークな役割について」、朝日新聞も「日本政府の役割とは?」と聞いた。
あまりにも視野が狭い質問に、聞いていてあきれた。何かヨイショ回答を引き出したかったのだろうか。
特使は「日本はミャンマーを熟知していますね」と文字通りの外交辞令を述べた。
筆者は、在日ミャンマー人たちが日本政府に「軍事政権にカネが流れるODAを止めろ」と訴えていることについてどう思うかと聞いた。
特使は日本の投資が生活向上に使われていると評価するに留まった。日本政府をズバリ批判する相手でないと思ってのことなのだろうか。
会場にはロヒンギャ難民の男性も来ていた。男性は「国連を非難するつもりはないが国連の行動は遺憾だ」と必死に訴えた。ミャンマー国軍に子供らまで虐殺され、100万人が決死の逃避行を行ったのである。難民になる前に保護してもらいたかったろう。
「ロヒンギャは国連にとって重要だ。だがクーデター発生によってより困難な問題になった。帰還はとても難しい」と特使は厳しい表情になった。
~おわり~
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