原発避難者「被害者に10年の節目はない」

=11日、東電本社前 撮影:田中龍作=

 東日本大震災からきょうで10年が経つ。東電本社前では原発事故の責任を追及する集会が会開かれた。(呼びかけ:たんぽぽ舎 / 経産省前テントひろば)

 大震災翌日の2011年3月12日から東電前、経産省エネルギー庁前で「福島原発はメルトダウンしている」と声をあげてきたのが「たんぽぽ舎」だ。日本の脱原発運動の総本山でもある。

 今夕も東電前には「たんぽぽ舎」共同代表の柳田真氏(1940年生まれ=写真)の姿があった。背中は曲がり、髪はすっかり白髪になっていた。

 「我々も全ての原発を廃炉に持って行けなかったが、相手(原子力ムラ)も思い通りにできなかった。全部再稼働させるつもりだったのだろうが、そうはさせなかった」。柳田氏は脱原発運動の成果を示した。

 一般社団法人日本原子力産業協会によると、現在運転可能な商業原発は33基。うち稼働しているのは9基。

=11日、東電本社前に立ち続ける柳田真氏 撮影:田中龍作=

 事故当時8歳、郡山市在住だった鴨下全生さん(18歳)は、「放射能が漏れているかもしれない」という親の判断で、福島県から脱出した。翌12日のことだった。

 自家用車で南に走る最中、1号機が水素爆発を起こした。

 以後、家族と共に東京で避難生活を送り続ける。「被害者に10年の節目はない。東日本大震災は被害の始まりです」と訴えた。

 脱原発運動の総帥でもある柳田氏はマイクを握って、集会参加者に呼びかけた―

 「東電は2つの悪いことをしようとしています。一つは柏崎刈羽原発の再稼働、もうひとつは東海第二原発の再稼働」。

 東電は事故の責任をあいまいにし、満足な補償をしない。裁判結果が示すように国家は東電を野放しにしたままだ。

 しっかりした反省がなければ、苛酷事故は再び起きる。

=11日、東電本社前 撮影:田中龍作=

      ~終わり~

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