白血病の原発労働者 労災認定にもかかわらず東電は責任認めず 

離れた所(写真奥)から公安刑事が監視する。毎度のこととはいえ、原発に対するこの国の姿勢が表れていた。=6日、東京地裁前 撮影:田中龍作=

 原発は健康に重大な被害を及ぼす。その動かざる証拠が原発労働者の被曝だ。

 東電・福島第一原発で事故の収束作業や九電・玄海原発で点検作業にあたり被曝した「あらかぶさん」(ニックネーム・45歳=北九州在住)は、2015年に白血病で労災認定を受けた。

 あらかぶさんが福島第一原発で事故収束の仕事を始めたのは、苛酷事故直後の2011年11月からだ。
 
 あらかぶさんは2016年、東電、九電を相手取って損害賠償裁判を起こしたが、電力会社は責任を認めていない。いかにも電力会社らしい。

 「あらかぶさん裁判」の第16回口頭弁論が、きょう、東京地裁であった。次回の口頭弁論から各論に入ることが確認された。

道行く人に裁判の概要を書いたチラシを配る支援者。=6日、東京地裁前 撮影:田中龍作=

 原告のあらかぶさんは、原子炉建屋が水素爆発で吹っ飛んだ3号機のそばで、倒れたクレーンの解体・運搬作業に従事していた。

 15分もすると首に下げていたアラームが「ビービー」とけたたましい音を立てて鳴ったという。

 九電・玄海原発では配管を切断する作業で鉄粉が飛んだが、全面マスクではなかった。

 原告のケースが示しているのは、電力会社や元請けの安全管理がズサンなことだ。

 タングステン製の鉛ベストが足りず、原告は着用しないこともあった。あってもファスナーが壊れていて、養生テープで止めていたという。

 放射線管理要員が現場にいないことが多かった。

 原告側は被曝の具体的な数値を出して因果関係を立証していく。

 あらかぶさん裁判の行方は、全国10万人の原発労働者の人道問題でもある。

       ~終わり~

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