外食産業など大手企業のシフト制労働者に休業手当が支払われていない問題-
きょう22日、開かれた立憲民主党の厚労部会で、厚労省から雇用保険制度を否定する仰天発言が飛び出した。
いきさつはこうだ―
きょうの厚労部会には外食大手で働くシフト労働者(1児の母)が出席していた。
彼女が勤務する会社にはパートやアルバイトが7,800人いる。正社員には休業手当が支払われているが、非正規の7,800人には支払われていない。
彼女が務める大手飲食会社のケースは、あくまでも氷山の一角である。野村総研の推計によるとコロナで仕事が激減したにもかかわらず、休業手当なしの非正規労働者は90万人(女性のみ)にのぼる。
にもかかわらず、休業手当の支給実績はあまりに低い。大量の非正規労働者の生き死にを左右するまでになっている。
厚労部会に出席した議員は「企業がきちんと払うところまで責任をもってやって頂けるのか?」と厚労省を追及した。
厚労省は「必ず支払うとかは、そこは企業のご判断で」などと無責任な答弁をした。
立憲厚労部会の石橋みちひろ副部会長は「(非正規労働者を)見捨てるのか」と詰め寄った。
それに対して出たのが厚労省の仰天発言だった。「生活がお困りの方につきましては生活困窮者に対する支援の窓口もございますので、そちらのほうを訪れて…」と言い放ったのだ。
自らも非正規労働者だった経験を持つ女性議員は「生活困窮者と言われて傷つきますよ」と声をあげた。
雇用調整助成金(休業手当)の原資は雇用保険だ。コロナ禍を受けての対策であり、非正規、パート、アルバイトといったすべての被雇用者が対象となる。多くは雇用保険に入っており、休業手当を受け取る権利があるのだ。
厚労省の暴言は、企業と行政の怠慢により受け取るべき手当を受け取ることができない非正規労働者に向かって「福祉に行け」と言ったに等しい。
厚労省は雇用問題を福祉で片付けようというのだろうか。だとすれば職務放棄である。
~終わり~
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