利用客を見込めないのに総工費9兆円(うち公的資金3兆円とも)を投じ、路線のほぼ全区間をトンネルでつなぐ21世紀日本の狂気、リニア新幹線。
マスコミの報道が少ないこともあり、東京で大規模工事が始まっていることは、あまり知られていない。
リニアが直下を通る大田区の南千束では2年前の3月30日~4月1日に、説明会があったきりだ。
洗足池では、リニアが走る大深度地下と地上を結ぶ立坑の建設工事がすでに始まっていた。工程表によると2年前の秋口からではないかと見られている。
「一体どうなっているのか?」大田区の住民がきょう、工事事務所を訪れ、建設業者(JV熊谷組・大豊建設)に説明を求めた。田中は同行した。
きょう新たに分かったのが、立坑の規模だ。直径40mで深さ120m。大規模工事である。
立坑は大深度地下区間の品川‐町田間で5キロおきに掘られる。一か所だけでも巨大工事であるのに、5キロおきに作ろうというのだから、驚く。
工事のために現場に出入りする車両は、ピーク時で、生コンミキサー車、ダンプ、トレーラーなどが1日310台。(説明会資料より)
住宅地であることから周辺には学校や幼稚園が点在する。そこを1日310台もの大型車両が唸りをあげて走るのである。
大田区の景勝地・洗足池は、リニアの軌道が池から40m南を走る。大規模工事により地下水脈が破壊されれば、湧水をたたえる洗足池は枯れる恐れもある。
リニアが自宅の直下を通るので地盤沈下を心配する区民もいる。
きょう、工事事務所を訪れた住民は「早く次の説明会を開催するよう」求めた。だが建設業者から明確な回答はなかった。
リモートワークが定着し、東海道新幹線でさえ利用客が戻らないのではないかと見られている。
国民に負担を押し付け、環境を破壊してまでリニアを建設する意味はどこにあるのだろうか。
~終わり~
◇
『田中龍作ジャーナル』は生活の現場から権力の驕慢を告発します。
コロナ禍で交通費に不自由するありさまです。ご支援よろしくお願い申し上げます↓