百害あって一利なし。批判の多いGo Toについて菅官房長官が「なかったら大変なことになっていた」とテレビ朝日の報道ステーション(21日放送)で発言した。
信じた国民は少なからずいるだろう。ところが官房長官はデータに基づくことなく発言していたのだ。きょう25日、開かれた野党合同の対政府ヒアリングで明らかになった。
大串博志議員(立憲)は、菅官房長官の発言の「根拠は何でしょうか?」と政府側に尋ねた。
返答に窮した観光庁(国交省)の官僚たちは、お互いの顔をしばらく見つめ合った。沈黙の後、奈良和美参事官が「菅官房長官の発言につきましては、のべで200万人泊と仰られたものと承知をしております」と答えた。
200万人泊とは7月27日から8月13日までの18日間、GoToを利用した旅行者の延べ人数だ。
観光庁によれば、例年の国内旅行客は1ヵ月で4千万人泊だ。
1ヵ月と18日とを単純に比較できないので、日割りにすると、GoToの場合1日=11万1,111人泊。例年だと1日=133万3333人泊。
政府が金を補助しても旅行者は例年の10分の1にも満たないのだ。
原口一博議員(国民)が念を押すようにして尋ねた。「国交省から菅官房長官にはデータを上げてないんですね? データなしでアテズッポで言ったということですね?」
別の官僚が「旅行会社の積み上げで200万人以上ということを(官房長官に)報告させて頂いている」と答えた。
大串議員は「200万人泊というのは『GoToがなかったら大変なことになっていた』を救った数なのか?」と尋ねた。
官僚は「主な旅行会社からの聞き取りの結果を踏まえて200万人以上と報告させて頂いた」と繰り返した。苦し紛れだった。
川内博史議員(立憲)が「旅行会社にヒアリングしたということだが、口頭か書面か?」と追及した。
官僚たちはスマホをひたすらいじった。観光庁のHPをググっているようだった。だが、結局、答えきれなかった。
中小零細業者にまったく恩恵なく
きょうのヒアリングでは杉尾秀哉議員が「旅行会社がツアーで送り込むような所(宿泊施設)は恩恵があるが、我々、中小零細業者にはまったく恩恵がない。(GoToは)意味がない」とする業者の声を紹介し、政府を追及した。
観光庁は「制度がまだ使いづらいという声があり、コールセンターを拡充するなどして…」とピント外れの答弁でかわそうとした。
杉尾議員が「そういう問題じゃないんです。そもそも政策の方向性自体が間違っているんです」とピシャリ。
利権のために間違った政策を無理やり進める。無謀な戦争に突き進んだ歴史が繰り返されている。
~終わり~