記者会見に登壇した電通幹部と電通OBは皆、仕立てのいいスーツを着ていた。田中は映画俳優の記者会見にも出たことがあるが、電通マンの方が上等だ。
コロナ禍のため経営難に陥っている事業者に持続化給付金が届かない問題。経産省から事業を委託された「サービスデザイン推進協議会(サ推協)」と、事業を再委託された電通が、8日夕、記者会見を開いた。
登壇者は全部で4人。電通が2人、サ推協が2人だ。といってもサ推協の大久保裕一・共同代表理事は電通グループの執行役員。平川健司・業務執行理事は去年6月まで現役の電通社員だった。
大久保代表理事は、8日付で、笠原英一代表理事が退任したことに伴う新任だ。マーケティング研究者の笠原前代表理事に代わる大久保代表理事は電通グループの執行役員。
サ推協に対する電通の支配体制が強化されたに過ぎない。当然のごとくサ推協は経産省とズブズブの関係になる。
「社団法人のサ推協は法律で義務付けられている決算公告を設立4年間で一度も出していない」・・・対政府ヒアリングで野党は経産省を追及してきた。
8日の記者会見で、田中が平川理事にこの件を質問すると、平川理事は「本来やるべき決算公告がなされていなかった」と、意外にもあっさりと認めた。
田中が「法令違反ですね」と畳みかけると理事は「申し訳ございません」。
テレビ局の記者は受付初日の5月1日にトラブルが集中していることを質問した。無難と言えば無難な問いだ。
平川理事は「収入が50%以上減っていることをチェックするためのやりとりで時間がかかっている」とした。
明らかに嘘だ。給付金が手元に届いていない申請者の圧倒的多くは不備メールも来ず、ほったらかしにされているのが現実だ。
だが、TV局の記者はそこを突っ込むこともしなかった。
法令違反を犯し続ける社団法人がなぜ巨額の事業を受注できるのか。
電通支配の社団法人がまず受注し、電通に再委託し、電通は自らの関連会社に外注し、電通の関連会社はまた電通の関連会社に再外注する…
サ推協が経産省から委託された事業費は769億円。官僚出身のある野党議員は、100~120億円が電通によって中抜きされているのではないか、と見る。
下請けに出される度、作業も遅れて責任があいまいになる。
国民が苦しむ分、電通が儲かる仕組みがある。
~終わり~
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