「安倍さんはレームダック状態に入ったようだね」。ある世論調査会社A社の社長は唸るように言った。
A社はマスコミの世論調査よりも精度が高いと言われる自民党の調査と似たような数字をいつも弾き出す。
A社が15、16日、全国調査をしたところ衝撃的な数字が出た。
投票先を自民党と答えた人は45%。公明、維新を加えても50%に届かなかった。
「ここで検察庁法改正案を強行採決したりしたら、さらに支持率は落ち込む。与野党逆転する。とてもじゃないが強行採決できるような状態じゃない」と社長は読む。
「ウチと似たような数字を見た菅さん、二階さんは青くなったはずだ」と続けた。
かくして安倍首相はきょう18日午後、二階幹事長に会い「国民の理解なくしてこの法案を前に進めることはできない」と言った。検察庁法改正案の今国会での成立見送りを告げたのである。
あくまでも今国会での見送りである。法案は継続審議となる。アベ一派の罪は見逃され、アベに不都合な人物は投獄される制度。それは撤回されたわけではないのだ。
官邸の番犬と呼ばれる黒川検事長は閣議決定で定年延長となっているため、検事総長となる芽はまだ残っている。アベ一派の逃げ切りはまだ可能である。
政権が岸田政調会長に禅譲されれば、アベ首相が逃げ切る可能性は極めて高くなる。
500万からなるツイッターデモは政権与党に計りしれぬほどの打撃を与えた。
「法案に賛成したらもう入れませんからね」。自民党の議員事務所は支持者からの抗議の電話に悲鳴をあげた。
学会婦人部による突き上げは、公明党以上に自民党にとって痛かった。婦人部からは連立に疑義を唱える声も出ているとされる。
自民党はボロボロになった。公明党との連立もギクシャクし始めた。
与党内が液状化し、一部の野党勢力とくっつく可能性がある。
「誰か総理ができる政治家はいないのか?」。自民良識派筋はまなざしを遠くに置きながらつぶやいた。
~終わり~
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