「私や妻が関係していたら総理大臣も国会議員もやめる」・・・2017年2月17日、安倍首相が国会で答弁した。
この日は金曜日。土日をはさんだ後の21日、大阪の近畿財務局に本省の理財局国有財産審理室長の姿があった。田村嘉啓氏だ。田中龍作のカメラが捉えていた。
田村国有財産審理室長は改竄を陣頭指示していたとされる人物だ。改竄作業を苦に自死した近畿財務局職員の赤木俊夫氏の手記にも登場する。
赤木氏の妻がきのう18日、改竄の元締めである佐川宣寿・理財局長(当時)と国を相手どって損害賠償請求の訴えを大阪地裁に起こした。
訴状によれば、田村室長は佐川局長の指示を受け、将来的に決済文書の公表を求められる場合に備えて記載を直す(改竄する)必要があると認識した。そして近畿財務局に指示した。
赤木さんは手記の終盤で刑事罰を受けるべき者として佐川局長とともに田村室長を挙げている。
2017年2月21日、田村室長は乗り込み先の近畿財務局で民進党調査団のヒアリングに臨んだ。隣席に赤木氏の直属の上司である池田靖・国有財産統括官を置いていた。
森友学園相手に値引き交渉の窓口となっていた池田統括官に迂闊なことを言わせないように、すぐそばでグリップしていたと言った方が正確だろう。
奇異に感じた田中は田村氏が本省から出張してきていることを突き止めた。
民進党調査団の質問攻めに遭って池田統括官は眉間に縦ジワを寄せ脂汗を流していた。
田村室長は表情ひとつ変えなかった。爬虫類のように体温のない目だった。
民進党調査団は8億円もの値引きの根拠となった深さ9.9mの地中から出てきたとされるゴミについて証拠を求めた。
地方の役人がボロを出しそうになると田村室長は「(それを)説明できる写真はございません」と開き直った。
ゴミをめぐっては、その後、根拠の不確かな写真が幾度も出てきた。「写真の改竄」とも言われた。田村室長は先を見越していたのだろう。
マスコミは佐川局長の国会答弁「政治家からの働きかけは一切なかった」(2017年2月24日)を受けて改竄が始まったとしている。
だが実際は田村室長がそれ以前に大阪に乗り込み、改竄の基礎を作り方向性を決めていたのである。
田中龍作のカメラと記事がそれを記録していた。
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