文・橋本玉泉
ゴールデンウィーク真っ只中。非正規労働者として働く身には、厳しくつらい時期だ。
多くの企業が休みに入るこの時期、非正規に割り振られる仕事は激減する。筆者が警備員の仕事をするようになってから、5年以上になる。警備員のほとんどは、1勤務ごとの報酬で働く非正規である。
工事関係もそうだ。3月末までの年度末には道路や鉄道、建設などあらゆる種類の工事があるが、4月に入るととたんに激減する。そしてGWともなれば、まず工事関係は望めない。わずかな現場しかないため、ベテランでも仕事の確保は難しくなる。
「厳しいねえ。これで雨でも降ったら、もう泣くしかないよ」。知り合いの50代のベテランは苦笑する。雨が降れば、工事は中止。収入は絶望的となる。
土日祝日は概ね休みになるのは、製造関係も同様だ。通常は24時間稼動し続けている工場なども、4月28日から5月6日まですべてのラインが停止する現場がほとんどだ。
ゴールデンウイークは9日間の連休になることが恒例化している。本来は平日である5月1日、2日も休みになるのだから、働いた分しか給与が得られない非正規には死活問題である。
筆者は今年は事前準備して、この時期に施設関係の仕事を確保することができた。施設の仕事は拘束時間が長い上に、報酬も割安だ。無いよりはましだが、相当きつい。
工事であれば、通常は1万円から1万2000円程度の日当がつく。だが、施設関係はまちまち。14時間の拘束で報酬が9000円程度か、それ以下というケースもある。
つい先日、同僚からこんな話を聞いた。
「橋本さん、A社さんは我々へのギャラに、休日手当分を上乗せして払ってくれているらしいですよ」
A社とは発注元の大手企業だ。派遣会社は、発注元にはギャランティについて聞くなと禁止している。しかし、現場の人間が訪ねると、わりと簡単に教えてくれる。
A社の担当者は、割り増しした金額を支払っていると言うのだ。もちろん、現場の我々にはその分の金額は追加されていない。
こういう点を、在籍する警備会社に問い詰めても、はっきりした答えなど返ってこない。「そんなはずはない」「何かの間違いですよ」などとはぐらかされておしまいである。
「要するに、俺たちが受け取るべき分のネコババだろう。頭にくる」。同僚たちは不満を口にするが、どうにもならない。言いなりの給料で言いなりの仕事をするしかない。
おまけに、正社員は月末に給与が振り込まれるが、非正規は先送りされることが多い。筆者の会社でも、現場の我々への給料が支払われるのは、連休明けの、さらにその週末の5月11日である。4月末に光熱費や公共料金を払ったら、手元にほとんど残らない。
同僚も「前借りか、カードローンくらいしかない」とため息をつく。
国会では働き方改革などという法案が進められているようだが、祝日こそ改革してほしいものである。
〜終わり~