安倍官邸はどこまで姑息なのか。人質事件の全容が明るみに出れば、世界に恥をさらすことになるだろう。
後藤健二さんの遺骨の返還をめぐってISとの間で交渉にあたってきたヨルダンの弁護士が、日本政府から入国を拒否されていることが、正式に分かった。
ヨルダンの弁護士に遺骨の奪還を依頼した民族派団体・一水会の木村三浩代表が今夕、記者会見して明らかにした。木村代表によると事の経緯は―
ムーサ・アブドラ弁護士は今月10日、アンマンの日本大使館でビザ申請をした。遺骨返還の条件を日本側と詰めるためだ。
書類に不備はなかったが、22日、日本大使館からムーサ弁護士に電話があり「入国ビザを発給することはできない」と告げられた。
ムーサ弁護士は入国拒否に遭うような犯罪者でも「ペルソナ・ノングラータ」でもない。
木村代表は知人の国会議員を通じて外務省から理由を聞いた。邦人保護課とテロ対策室が対応した。外務省の回答は次のようなものだった―
「(ムーサ弁護士は)入国されると良くない人なのです。テロリストともお付き合いがあるようですし」。
イスラム・ジハード系の主任弁護士であるムーサ弁護士は、ISとの交渉の糸口を見つけられる人物だ。ISの人質になったスペイン人ジャーナリスト2人を交渉の末、奪還した実績を持つ。交渉の事情に明るいことが日本政府にとっては、まず不都合だった。
もっと不都合なことがあった。日本政府は、イスラム法学者のムハンマド・アル・マクデシィ師に後藤さんの奪還交渉を依頼した、と説明している。
ところが、マクデシィ師はISから攻撃の対象にされるほどISとは不仲なのである。
知っていなかったとすれば日本政府の救援本部はまったく無能ということになる。知っていたとすれば、マクデシィ師は単なるダミーだったということになる。「人質奪還の交渉をしていますよ」と言って日本国民を欺くための。
ムーサ弁護士はこのマクデシィ師と昵懇(じっこん)の間柄である。ムーサ弁護士が来日すれば、日本政府の失態が明らかにされるのは必定だ。
ムーサ弁護士は、日本政府にとって確かに「都合のよくない人物」なのである。入国拒否について外務省は「最終的には外務大臣と官邸の決済だ」と説明したという。
ムーサ弁護士は木村代表に国際電話で「日本人のために努力してきたのにアンハッピー」と話した。
木村代表は「日本政府は亡くなった方々の遺骨を拾おうという気がサラサラない」と憤る。
後藤健二さんと湯川遥菜さんが人質にとられていることを知りながら、のこのこと中東に出かけて行った安倍首相。
エジプトでの演説では「イスラム国対策として(中東諸国に)2億ドルの支援を約束する」とぶちあげ、ヨルダン国王との会談では、イスラム国対策に1億ドルの円借款を表明した。このため、結果としてISにつけ込まれたのだ。
日本政府は人質奪還の余地があったのにもかかわらず、何もせずに見捨てた。あげくに今度は失態隠しのために、実情を知る弁護士の入国を拒否したのである。
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