スーチーさんが解放されたからと言ってビルマ(ミャンマー)に春が訪れたわけではない。
民主化運動に取り組む学生への弾圧はいまなお続いている。5日、国家教育法に反対する学生のデモを警察が鎮圧、マスコミ報道によると10人が身柄を拘束された。
鎮圧にあたって警察は暴漢数十人を使った。暴漢たちは学生に殴る蹴る、首をしめるといった激しい暴行を加えた。
国家教育法は去年9月成立した法律で、政府による統制色が濃いことから、学問の自由をおかすとして、学生たちが反発を強めている。
デモ隊が弾圧されるもようを撮影した写真はSNSで世界中をかけめぐった。
翌6日、在日ビルマ人約100人が、品川のミャンマー大使館前で抗議の声をあげた。
彼らの多くは、軍部による民主化運動の大弾圧があった1988年ごろから日本に逃れて来ている。頭には白髪が混じり、老眼鏡をかけている人も少なくない。
彼らは本国に帰りたくても帰れない。ビルマ民主化同盟(NDB)のタン・スウェ議長は、「所持しているのは軍政が敷かれる(1988年)前のパスポートで、しかもブラックリストに載っているため入国できない」と話す。
ミャンマーに春は訪れていないことが分かる。
「スーチーさんの解放・政界復帰は、欧米からの投資を呼び込むためのポーズに過ぎない。まだ軍政が続いている」。在日ビルマ人の女性(50代)は、怒りをぶつけるように話した。