日本政府と米軍が神経を とがらせる 日が当分続きそうだ。米軍辺野古基地の建設に伴って、仲井眞前知事が許可した区域の外で岩礁(サンゴ)が破砕された問題で、沖縄県はきょうから海底調査を始めた。
サンゴの著しい破砕が確認された場合、翁長知事の判断しだいでは、(埋め立て)許可を取り消すこともあり、基地建設は重大な局面を迎えることになる。
前知事が岩礁破砕を許可したのは、米軍辺野古基地の滑走路や軍港建設による埋め立て区域だけだ。いわゆる建設予定地に限るものだ。
米軍は建設予定地の何倍もの広さの海域をオレンジ色のフロートで囲っている。海上を「万里の長城」のように伸びる。「臨時制限区域」と名付けられているが、地元住民は「立ち入り禁止区域」と呼ぶ。
米軍基地関係者、工事関係者でない限り、フロートの内側に入ることは許されないからだ(写真・上段)。
万里の長城(フロート)は米軍の聖域を誇示するものだが、台風で流される。これを流されないようにするために巨大コンクリートブロック(最大で45トン)を約100個も沈めた。先月のことだ。
ところがフロートの下には、サンゴ礁が広がっていた。サンゴ礁は無残にも砕けた。地元紙のカメラマンが撮影し確認している。
沖縄県はこの区域の岩礁破砕を許可していない。防衛局にトンブロックの設置を止めるように求めたが、誠実な対応は見られなかった。
きょうから始まった沖縄県の海底調査は行政としても確認するためだ。ダイバーを潜らせた(写真・下段)。破砕が確認されれば、漁業調整規則違反となる。
前知事が埋め立てを許可した際の附帯条項に「環境を破壊しないこと」とある。埋め立て区域外であっても、著しい岩礁破砕が確認されれば、それは環境破壊となる。
翁長知事は「(区域内の)岩礁破砕許可の取り消しも視野にある」とする。もしそうなった場合、官邸は「許可取り消しを無効」としてくるだろう。
名護市長選、沖縄県知事選、衆院選で示された「辺野古基地にNO」の民意を否定してでも。