米軍・辺野古基地建設をめぐる報道に接すると、マスコミの視点が権力からのものであることがよく分かる。
沖縄県がサンゴの破砕を確認した26日、菅官房長官は定例記者会見で「一方的に調査を開始したのは極めて遺憾だ」と不快感を露わにした。
耳を疑うような発言だ。沖縄県民にしてみれば「何でアンタにそんなこと言われなければならないの?」と言いたくなるだろう。
沖縄県が今回調査したのは、米軍が管理する水域の外なのである。だが、全国紙もテレビも官房長官のコメントをそのまま載せるだけだ。
なぜ、「そこは制限区域(米軍管理水域)の外だ」と付け加えないのだろうか?
中谷元防衛相の発言は輪をかけて酷い。防衛相は「許可なく制限区域に入って調査が行われたのは極めて遺憾」と決めつけたのである。(27日閣議後の記者会見)
タメにする批判だ。筆者も地元メディアも目視していたが、調査は制限区域(米軍の管理水域)の外だった。
『沖縄タイムス』によると、沖縄県の調査船は「これから調査を始める」ことを告げるため、防衛局の船に接近した。
この際、制限区域内に入ったものと見られる。だが、あくまでも調査そのものは、制限区域の外だ(写真下段)。
防衛相の発言は、キャンプシュワブ・ゲート前で起きたあの事件を思い出させる。沖縄平和運動センターの山城議長らが22日、米軍に無理矢理に拘束された事件である。
米軍は山城議長らが基地と国道の境界となる黄色の線を越えたという理屈で、身柄を取り押さえたのである。常識的には道路(歩道)としか思えないエリアだったにもかかわらず。
この時、NHKニュースは「市民グループの2人は『基地の敷地内に立ち入った』として米軍に拘束された」とコメントしている。
大浦湾とキャンプシュワブ・ゲート前で同じことが起きているのだ。
地元住民にとって『沖縄タイムス』と『琉球新報』の信用は絶大だ。だが全国紙については「アテにならない。報道さえしてくれない」という意見が支配的だ。
閣僚は日本国民の利益よりもアメリカの利益を優先して発言する。骨の髄までアメリカの犬だ。マスコミも同様である。