あれから13年が経つ。2001年1月26日、JR新大久保駅で泥酔した男性がホームから転落、日本人カメラマンと韓国人留学生が線路上に飛び降り、男性を救出しようとしたが、間に合わず3人とも列車にはねられ死亡した。
美談として報道されたので、ご記憶の向きも少なくないのではないだろうか。
ところが、新大久保は今やヘイトスピーチが吹き荒れる街となった。とりわけ在日コリアンに対する罵詈雑言は聞くに堪えない。
10年ひと昔- 日本人はいつから恩を忘れる民族になってしまったのか。事故の翌年、天皇陛下は韓国人留学生の両親を韓国から招いて慰労しているのである(Wikipediaより)。レイシストたちは陛下の大御心さえ踏みにじっていることになる。
1月25日にはNHKの新会長・籾井勝人氏が就任会見で「従軍慰安婦はどこの国にもあった」と発言し、韓国を批判した。籾井会長はまた、「国際放送で尖閣・竹島について日本政府の立場を主張するのは当然」と言ったという。
公共放送のトップになる人間からしてこのようでは、ヘイトスピーチが容認される土壌がますます作られかねない。
一国のリーダーである安倍首相がダボス会議で「日中関係が緊張している」旨を述べ、世界を驚愕させたのは籾井発言の2日前のことだ。
近隣諸国との関係を緊張させ、国際社会からの孤立を深めていったあの時代を思い起こさせる。
新大久保の事故はそれゆえにいっそう、忘れてはならない日だったのだ。