「治安維持法の時代に逆戻りさせてはならない」「子や孫を戦争にとられたくない」…と願う人々がきょう、国会を包囲した。
今国会(会期末・6日)で「特定秘密保護法」を可決成立させたい与党はきょう午後、さいたま市で地方公聴会を開く。そして明日(5日)、国家安全保障特別委員会で強行採決、あさって(6日)本会議で強行採決というスケジュールを描いている。
同委員会の中川雅治委員長(自民)は、野党の意見を聞かず地方公聴会の開催を決めた。前日の夕方6時に開催を決めて、どうやって公述人の人選をしろというのだろうか。
「秘密の範囲があいまい」「しかもそれは秘密」「行政の長が一存で秘密を指摘「チェック機関もない」…恐ろしい問題は何一つ解決されていないままだ。稀代の悪法が現実のものとしてはならない。危機感を抱く人々が昼前から国会前に集結した。
自営業者の男性(60代・東村山市)は営業を中断して駆けつけた。男性は原発反対運動にも携わっている。「今日はたまりかねて来た。このままでは“ 脱原発 ”も潰される」。
翻訳者の女性(50代・鎌倉市)は締切りを先延ばししてもらい参加した。「言論・表現の自由のように当たり前と思っていたことが、当たり前でなくなる。自分が戦わなければ、先人の苦労が無駄になる」。
スーツ姿に通勤カバンを手にしているのは、静岡から仕事を休んで国会前に来た男性だ。「子どもたちを守りたいだけ」。
皆、懸命だ。
昼休みを利用したサラリーマンなどが続々と永田町に詰めかけた。議事堂の外周を歩きこの目で確認したが、国権の最高機関は人間の鎖で確かに包囲された。