特定秘密保護法案に反対する超党派の野党議員たちがきょう、日本外国特派員協会(FCCJ)で記者会見を開いた。特派員協会も秘密保護法に反対する声明を出しており、緊迫感のある記者会見となった。
会見の冒頭、司会のマイケル・ペン氏が反対声明を読み上げた――
秘密保護法案の中にはジャーナリストに対する起訴や禁固を可能にする条文が含まれており…(中略)開かれた社会における調査報道の神髄は、政府の活動に関する秘密を明らかにし、それを市民に伝えることにある…(後略)
記者クラブで政府の意のままに操られる日本のマスコミと違って、「秘密保護法」に対する海外メディアの憂慮は深い。
記者会見に出席した野党議員は福島みずほ(社民)、仁比聡平(共産)、主濱了(生活)、山本太郎(無所属)の4氏。
社民党の福島みずほ議員は、「情報は民主主義の貨幣です。国際水準から問題ありという声があがっている事を報道して下さい」と海外メディアがこの法案について広範に取り上げるよう訴えた。
共産党の仁比議員は、「FCCJの声明に敬意を表したいと思う。憲法に基づく平和と民主主義を根底から覆す悪法。アメリカと一緒に地球の裏側に行って戦争する国にするため、NSCを機能させるためだ」と法案の隠れた意図を指摘した。
筆者は山本議員に秘密保護法の全国行脚での人々の反応、特に福島や沖縄の反応はどうだったかを質問した。
「ほとんどの人が法律の存在自体を知らない。知ると目が変わっていく。知って危険だなと思ったら地元選出の国会議員にFAX、メールしてくださいというキャンペーンをやった。福島や沖縄の人は国に裏切られて振り回されている。他の地域より前のめりになって聞いて頂いた」。
全国街宣中、マスコミはほとんど来なかったという。「TVが1社、地元紙くらい。それもほとんどが閣議決定されてからだ。そんなに軽減税率が欲しいのかな」と、この問題を取り上げて来なかったマスコミをまたもちくりと一刺しした。
山本議員は「国民を被曝させても情報を隠蔽しようとする国。その上にこんな法律ができたらいったいどんな国になってしまうのか?いきつく先は何か?ファシズムしかない。特定秘密保護法は一部の政治家と官僚のクーデターだと思っています」と強調した。
米国人記者が「秘密保護法と治安維持法は似ていると言われるが、どこが似ているのか」と質問した。
弁護士でもある福島議員は、「治安維持法もできた時は大したことないと思われていたが、のちに猛威を振るった。逮捕者が出たら日本のジャーナリズムや市民運動は脅威を受ける。Chilling Effect(萎縮効果)がある。何が秘密か裁判でもわからない。どんどん秘密が広がっていく。気象情報すら出なくなる。公知の情報でも知らずに話して投獄される。共通点がいっぱいある」と解説した。
治安維持法との類似点について質問した米国人記者に、筆者は会見後、話を聞いた。
「アメリカではこんな法律(秘密保護法)は通らない。アメリカのメディアは政権からコントロールされないように自分の権利を確立する法律を作ろうとしている。安倍ボンボンは戦争がしたいだけ」。米国人記者は呆れ顔で答えた。
日本の新聞は売上部数を伸ばしたいがために戦争を煽り、軍部と一体となって国を戦争へと導いていった。戦後は憲法9条があり、さすがに戦争を煽ることはできなくなったが、政権との近さは戦前と変わらない。
外国人メディアの方が日本のマスコミよりも秘密保護法への危機感を強く抱いていることに、妙な心地よさを感じるのだった。一方で もどかしさ も沸々と湧いた。