年度終わりの3月は「雇止め」が横行する季節だ。「契約終了」を口実にした首切りに非正規労働者たちは怯える。「不当解雇に納得がいかない」…ユニオンには相談が相次ぐ。“総本山”の全国ユニオンは昨日と今日の2日間、「雇止めホットライン」を設けた。
ホットラインが土・日に行われたこともあり、ユニオンのオフィスを訪れ窮状を訴える非正規労働者の姿もあった。
電機メーカーで契約社員として働く女性(50代)は、「3ヵ月契約」を10数回に渡って繰り返されてきた。会社の上司から「あなたをいつか正社員にするから」と言われていたので、その日を待ちながら働いてきた。
ところが先月末、「3月末で契約終了」と会社から通告された。改正労働法第19条の趣旨に反する、雇止めだ。新19条は以下のようなケースは雇止めにしてはならないと定めている―
①過去に反復更新された有期労働契約で、その雇止めが無期労働契約の解雇と社会通念上同視できると認められるもの。
②労働者において、有期労働契約期間の満了時に当該有期労働契約が契約更新されるものと期待することについて合理的な理由があると認められるもの。
彼女のケースは2つとも該当する。彼女は相談に訪れた「プレカリアートユニオン」にすぐ入会、ユニオンは会社に交渉申入れ書を送った。「解雇や雇止めを撤回せよ」「雇用を維持せよ」「無期雇用に変えるべし」という内容だ。
【一般職であるにもかかわらず「専門職」の契約】
流通の会社で派遣労働者として働く女性(40代)は、7年間同じ部署で働いてきた。労働者派遣法・第40条の5は「3年を超えて同一の業務に従事した派遣労働者に対して派遣先(会社)は直接雇用を申し込む義務がある」と定めている。
ところが彼女にもたらされたのは「3月末で契約終了」とする一片の紙切れだった。彼女の実際の仕事は電話対応やパソコンの入力などだった。「一般職」である。にもかかわらず、労働契約書には「OA機器操作」とされていた。派遣先の会社は「専門職は除外される」とする例外規定を悪用したのである。
ユニオンは会社に対して「違法派遣の状態である」と指摘し「直接雇用せよ」とする申し入れをすることにしている。
プレカリアートユニオンの清水直子書記長は「“期間満了です”と言われてもあきらめないでほしい。契約が繰り返し更新されている場合、会社に責任を取らせることができる」と話す。
「契約終了」を突き付けられた非正規労働者の相談窓口(常時開設)は下記―
☎ 03-6276-1024(プレカリアートユニオン)