関西電力大飯原発3、4号機が再稼働に向けて大きく動き出す。関西電力が行ったストレステストを妥当とした原子力安全・保安院の評価をめぐり議論する、意見聴取会がきょう開かれた。
出席した専門委員8人のうち慎重派はわずか2人だ。残る推進派委員のうち3人が原子力産業から多額の献金を受けていた。司会進行役の岡本委員(東大教授)は三菱重工から200万円をもらっていた、との報道もある。
全出席者35人の内訳は電力会社12人、学識経験者(専門委員)8人、保安院10人、原子力安全基盤機構5人。「原子力村の総会に慎重派2人が乗り込み正論を述べる」―多勢に無勢を絵に描いたようだ。
岡村委員の司会進行で議事は再稼働容認に向けてまっしぐらに進んだ。
「大飯原発におきましては活断層はあるものの特段の考慮の必要はない……」。保安院の名倉審査官は数字をあげながら、安全面に支障はないことを強調した。原子力安全基盤機構の福西審議官が「配管支持構造物は頑丈な作りで…」と畳み掛ける。
最終回となったきょうの意見聴取会は、あまりの茶番に傍聴の市民が抗議して中断した前回(先月18日)のようなこともなかった。再稼働に向けた原子力村の儀式は怠りがないようだ。
ストレステストを可とする聴取会の結論は、原子力安全委員会に送られ、政府として再稼働を認めることになる。
電力会社の申告を保安院がオウム返しにし、委員会はそれを追認する。「原発は安全」と勝手に決め込んでいた「3・11」前と図式は何ひとつ変わっていない。
10万人余りもの避難者を出し、福島の人々の生活を破壊し、農地と海を放射能汚染した東電福島第一原発事故。その教訓が全く活かされていないことに愕然とする。