【福島報告】原発事故収束への『ステップ1』達成に不信と怒りの声 “葬式出す前に東電に乗り込む”

東電と政府への不信感をぶつける住民。「避難権確立」の対政府交渉で。(19日、コラッセ福島。写真:筆者撮影)

東電と政府への不信感をぶつける住民。「避難権確立」の対政府交渉で。(19日、コラッセ福島。写真:筆者撮影)


 毎度ウソをついていると、しまいには何を言っても信用されなくなる。東京電力と政府の発表はその典型だ。東電と政府は19日夕、福島第一原発事故の収束に向けた工程表のステップ1を達成したと発表した。ステップ1とは、原子炉を安定的に冷却させることである。

 こともあろうに東電は放射性物質の放出量が事故直後(3月15日)の約200万分の1に減少したとする試算(あくまでも試算)を明らかにした。

 福島県民は東電と政府に発表に不信と怒りを露わにした。同夕、原発から30キロ余り離れた福島市では「避難権」確立の対政府交渉が持たれていた。子供を被曝から守りたい父母たちが、一刻も早く子供を避難させるよう政府に懸命の要望をしていたのである。

 対政府交渉出席のため会場(コラッセ福島)を訪れた県民に聞いた―

「政府と東電はステップ1が達成されたことを証明する詳細なデータを公表すべきだ」。(子どもたちを放射能から守る福島ネットワーク代表の中手聖一さん)

 「信用できない。メルトダウンがそうであったように情報がきちんと出されていない。収束に向かっているのか何とも言えない」。(年金生活者・60代後半男性=郡山市在住)

 「東電が勝手に言ってるだけ。信用してない。子供がドロリとした鼻血を出した。もし死んだら葬式を出す前に東電に乗り込む」。(男性=郡山市在住)

「夫が除染のため庭の土をはがしてもすぐに“フレッシュな放射能”が飛んでくる。線量が下がらないのに避難解除なんてありえない」。(30代主婦・福島市在住)

“フレッシュな放射能”は現地の主婦仲間で流行り言葉になっているのだそうだ。

細野豪志・原発事故担当相はステップ1達成後に「緊急時避難準備区域」を解除・縮小する考えを示していた。だが19日の記者会見では「今月末か来月初めにかけて安全性を確認した後、地元自治体などと検討する」と発言を後退させた。

ステップ1が終了したとする政府と東電の認識は、あまりにも住民とズレていると言わざるを得ない。

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