郵便不正事件を捜査していた大阪地検特捜部主任検事による証拠改ざんで信用が地に堕ちた検察。数々の冤罪を生む組織のありようが今、問われている。検察を立て直すために外部有識者の意見を聞く、柳田稔法務相の諮問機関「検察のあり方検討会議」(座長:千葉景子前法相)の第一回目会合が10日、法務省で開かれた。
検討会議の委員は弁護士、ジャーナリスト、検事出身者など14人からなる。会議の冒頭、各委員は自己紹介を兼ねて検討会議に臨む抱負を語った。的を射ているだけに、検察首脳が聞けば目を剥いて怒りそうな内容だった(敬称略)――
石田省三郎(弁護士):「10年前にある省庁の事務次官の弁護を担当した。長期拘束を受けた後、その次官が言うには『官庁のことは大体知っているつもりだったが検察庁ほどひどい官庁があるとは今まで全く知らなかった』」。
江川紹子(ジャーナリスト):「私は検察のあり方全体を見直す会議と聞いたので委員をお引き受けした。大阪地検特捜部だとかとんでもない検事がいたという問題ではない。(江川氏は冤罪事件の具体例を挙げながら)再審となって有罪立証ができないにもかかわらず有罪を主張している。これが果たして公益の代表者の対応でしょうか。これ以上冤罪を出してはならない」。
郷原信郎(検事出身の弁護士):「私は23年間、検事を務めていたので検察のいい面、悪い面の両方を知っている。現在の検察は閉鎖的な組織で自己完結するところから、すべての判断を自分でするため悪い面が出ている」。
嶌信彦(ジャーナリスト):「検察のリークがあるのかないのか。現実の問題として何か事件が起きるとマスコミは一斉に同じ方向を向いて書く。報道は一般社会に大きな影響を与える。多くの国民はこの点(検察)リークについて聞きたがっている」。
宮崎誠(元日弁連会長):「日弁連が幾度もお願いしてきた冤罪防止の取り組みがなされていない。無理にでも有罪を取りに行こうとしている。大阪地検特捜部の存廃などトカゲのシッポ切りには全く興味がない」。
在野の委員からは、火を噴くような激しい批判が相次いだ。冤罪に苦しめられた人々の怒りを代弁しているようでもあった。
ところが元検事総長の但木敬一委員は屹然と孤高を保っていた。この人、脳みその芯から「検察は正しい」と思っているようだ・・・
(つづく)
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