北海道の港湾開発や林野行政に絡んだ贈収賄事件で実刑が確定していた鈴木宗男前議員は20日、食道ガンが見つかったことを明らかにした。来週、入院し手術する予定。早ければ今月中にも収監されるものと見られていたが、遅れることになる。
収監されれば、未決拘留の437日を差し引いて1年5ヶ月間の刑務所暮らしとなる。
鈴木前議員は衆院会館で催した歌手の松山千春氏、作家の佐藤優氏とのトークイベントで自らの病状を話した。収監の時期は手術後、検査を受けてからとなる。弁護士を通じて検察庁の了解を得た、という。
鈴木氏は7年前に胃ガンを患っている。ガンが見つかったのは2003年10月。437日にものぼる拘留から保釈されたわずか1ヶ月余り後のことだ。捜査での取調べや拘留中のストレスが胃ガンの発生原因になったのだろうか。
そして今度は収監目前に食道ガンと診断されたのである。ガンが転移すると患者の生存率は著しく低下する。鈴木氏は検察への怒りをぶちまけるように独特の早口でまくし立てた(以下鈴木氏の話)――
小沢(一郎)さんの西松事件をやった谷川という検事が言っていた。「鈴木は三井物産から3億円もらっている。これでやる(立件する)んだ」と。私は一円の関係もないのに検察はストーリーを作っていた。
ここにいる国会議員の先生がたも狙われたらオシマイですよ。小沢さんも狙われた。検察は「胆沢ダムで小沢さんが口利きしている。何億円も貰っている」と言って調べたが(証拠となるものは)出なかった。
しかし一般の人は(マスコミを通じて)頭にこびりついているから「小沢けしからん」となる。
きょう水谷功(水谷建設元会長)さんが私の所に来て(次のように)話した。前田(恒彦)検事は「俺たちは政治家と官僚を捕まえるのが役目だ。小沢にカネやっただろ」。
否認すると保釈がなくなるので検察に引き摺られる。これが検察の取調べの実態です。密室の中で追い込まれてゆく。
裁判官は調書優先主義です。(検察)調書の信用性は高い。届けた人が「正規の政治献金です」と言っても、公判での証言の信用性は低い。こんなバカな判断はない。
―――――(鈴木前議員の話ここまで)――
郵便不正事件で無罪が確定した厚労省の村木さんは、取調べの段階から全面否認を続けた。スネに傷を持っていなかったからだろう。だが検察に脅されるような傷があったりすると引き換えに調書にサインさせられる。
地方検察庁の廊下を歩いていると検事部屋から声が聞こえてくることが時々ある。「いいかオマエ、公判になったら否認するんじゃないぞ」。数えきれないほど余罪を持つチンピラやくざに検事が念を押していたのを思い出す。このようなケースでは裁判官は検察調書に書かれている供述内容をそのまま認めるだろう。
今回の郵便不正事件で、検察は狙った大物を起訴するためにストーリーを作り、供述をでっちあげていたことが明るみに出た。他の事件でも同様に供述がねつ造されていた可能性が高い。検察庁内の出世争いに勝つためだというから質が悪い。
政治家や官僚の肩を持つつもりはないが、過去の贈収賄事件は全て洗い直す必要があるのかもしれない。
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