開かれた政府を目指していたはずの民主党が政権に就くや豹変した。野党時代、民主党はメディアに対して閉鎖的な自民党との違いを強調するために「政権奪取後は政府の記者会見を(大メディアからなる)内閣記者会以外にも開放する」と明言していた。
ところが16日、鳩山代表が首班指名を受け政権与党となると、JanJanなどのインターネットメディアやフリー記者などが総理記者会見に出席することを拒んだのだ。
マニフェストにこそ盛り込んでいないが、小沢一郎幹事長は民主党代表時、鳩山由紀夫首相も総理就任前、「政府記者会見の開放」を約束してきた。
口約束とは言え政権党トップが公言したことである。16日午後6時から、鳩山首相就任後、初の総理記者会見が行われた。当然出席できるものと思い「JanJan」「ビデオニュースドットコム」、「インサイダー」、フリージャーナリスト・上杉隆氏の総勢7人は官邸に足を運んだ。
受付で用件を告げると、守衛が報道室に内線電話を入れた。報道室からは「許可を取っていない社はお入れできない」という答えが返ってきた。「入れさせろ」「ダメです」。守衛を介しての報道室との押し問答は30分余りも続いた。
前兆らしきものはあった。政権奪取後の9月初旬、筆者が官邸報道室に問い合わせたところ「民主党が入ってきてからでないと何とも言えない」と回答された。民主党に聞くと「鳩山政権がスタートしてからになる」(役員室)。岡田克也幹事長(当時)も記者会見で「政府がスタートしてからでないとお答えできない」と答えている。
官邸に聞くと「民主党に聞いてくれ」と言われ、民主党に尋ねると「政府がスタートしてから」と返答される。民主党政権が16日、正式にスタートしたのだが全く進展はない。キツネにつままれているようだ。
その一方で、着実に動いたものがある。平野博文官房長官が内閣記者会に情報公開の一環として「雑誌協会と外国特派員の出席を認めるよう」要請したのだ(朝日新聞16日付)。
内閣記者会を構成するのは新聞、テレビ、通信社という大メディアである。雑誌だと自分たちより発信が遅いから心配ない。外国特派員からも出し抜かれることはない。
ところが、インターネットメディアは自分たちよりも発信が早い。実際抜かれることも珍しくない。政府にとってもコントロールが効かない厄介な存在だ。あくまでも推測だがインターネットメディアの排除に関しては、政府と内閣記者会の利害が一致するのである。
世界中のどこの独裁国家にもない「記者クラブ」という名の談合組織。権力にとっては都合のいいように利用できる便利な組織だが、国民してみれば不透明で不利益だ。民主党は、閉鎖的な政治で国民にノーを突き付けられた自民党と同じ道を歩むのだろうか。
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