パリに本拠を置く国際人権団体「国境なき記者団(Reporters Without Borders)」の代表らがきょう、日本外国特派員協会で記者会見を開いた。
会見ではクリストフ・ドロワール事務局長、イランの2003年ノーベル平和賞受賞者シリン・エバディ氏、天安門事件のリーダー、ウアルカイシ氏などが出席し、世界の報道の自由度やイラン・中国の人権弾圧について見解を述べた。
「国境なき記者団」は毎年、各国の「報道の自由度ランキング」を発表することで知られる。日本は昨年、今年とも過去最下位の72位だった。
安倍政権になって順位が下がり続けている理由は、記者クラブ制度や秘密保護法、戦争法などの成立が、報道の自由を阻害していると見られているからだ。共謀罪が施行されたことで、来年以降も、さらに順位が下がることが懸念される。
質疑応答の時間に入ると、堰を切ったように政権寄りとみられる人々から抗議と質問が相次いだ。ネットで言う炎上、いわゆる「祭り」状態に陥ってしまったのだ。
口火を切ったのは読売新聞の記者だった。「日本は民主主義の国です。心配されることはありません。日本のメディアは活発にスキャンダルを追いかけています・・・」。会場に失笑とざわめきが起き、フリー記者らは顔を見合わせた。
自分の英語能力が低下したのかと一瞬耳を疑った。安倍総理から「読売新聞を読め」と言われて、自分たちが日本メディアの代表だと勘違いしているのだろうか。
続いて、自ら“右派”と自己紹介する男性記者が「共謀罪が施行されたが、記者はだれ一人投獄されていない」などと政権を擁護する発言をした。
極めつけは「放送法遵守を求める視聴者の会」のチラシを持った年配の男性2人だった。「視聴者の会」は2015年、安保法制に反対するニュースキャスターを名指しで非難する新聞広告を打った団体だ。
最初の男性が言った。「安倍政権になっても報道の自由度は変わっていない。72位というのは偏見である。安倍首相は愛国者である。あなた方はエキセントリックだ」。
もう一人は「日本には何ら制約などない。自由な国だ。なぜ日本が72位なんだ?」と責め立てた。
ドロワール事務局長がたまりかねて「それは質問ですか?抗議ですか?」と聞くと、男性は「抗議です!」と吐き捨てた。
東京新聞の望月記者への記者クラブ側の対応や、詩織さんのケースが海外に知られれば、順位がさらに下がるのは言うまでもない。
「報道の自由度ランキング」72位の評価に不満を持つ人々が炎上を仕掛けたせいで、日本のメディアに深い亀裂があることが改めて可視化されてしまった。
~終わり~
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