パレスチナ国家承認の裏で進む事態とは

極右のベングビール氏が国家治安相に就任すると、パレスチナ国旗を屋外に掲揚することが禁じられるようになった。国境警察が国旗を引きずりおろしに来た。=2023年1月、東エルサレム 撮影:田中龍作=

ガザの惨状を見かねたヨーロッパ各国の首脳がパレスチナの国家承認を訴えている。

それを牽制するかのようにイスラエルの極右閣僚は西岸の8割を併合するとブチあげた。

極右閣僚とはスモトリッチ財務相だ。西岸の8割併合はハッタリでも何でもない。ここがネタニヤフ政権の怖さだ。

スモトリッチ氏が提案した「巨大入植地(3400戸)」建設はイスラエル政府に承認されているのである。巨大入植地は東エルサレムと西岸を分断する。

イスラム教徒の聖地であるアルアクサの丘がある東エルサレムは、パレスチナが国家として独立した時の首都なのだ。西岸と聖地を隔てるユダヤ人入植地の建設はパレスチナの民の夢を打ち砕く悪魔の所業という他ない。

スモトリッチ氏は入植地建設に予算をつける財務省のトップ(大臣)なのだ。

家の両側をユダヤ人入植地に挟まれたパレスチナ人住宅。門扉の開閉はイスラエル軍が管理する。閉められた時はカゴの鳥となる。=2023年1月、西岸 撮影:田中龍作=

田中は2022年末、イスラエルに極右政権が誕生しそうになるとすぐに現地に飛んだ。流血の事態が起きると思ったからだ。

パレスチナ人は虐殺してあたり前、パレスチナの地から人々を追い出してしまえ、いうのが彼らの思想である。

イスラエル国会(定数120議席)の構成に驚く。

ネタニヤフ連立政権は計62議席。このうち極右が13議席(「ユダヤの力」6議席と「宗教シオニスト党」7議席)を占める。極右なくしてネタニヤフ連立政権はない。

逮捕逃れのため永遠に戦争を続けたいネタニヤフ首相と「アラブ人に死を」と唱える極右が合体したのがネタニヤフ政権なのだ。

ちなみに「ユダヤの力」を率いるベングビール国家治安相と「宗教シオニスト党」を率いるスモトリッチ財務相は共に弁護士資格を持つ。日本の極右とはレベルが違うのである。政権のキャスティングボートをも握る。

ユダヤ人入植地。パレスチナを見下ろす場所に立つ。=2023年1月、西岸 撮影:田中龍作=

パレスチナ住民300余万人が暮らす西岸の8割をイスラエルが武力併合しても何ら不思議はない。

イスラエルはガザ戦争が終結すれば、西岸で本格戦争を起こすこともある。

 ~終わり~

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