年金システムよりもさらにズサンな管理のもとに1億2千万人の個人情報が置かれようとしている。
「共通番号いらないネット」が現在国会で審議中の「番号利用拡大法案」の廃案などを求める記者会見をきょう、国会内で開いた。
上のシステム図を見てほしい。中間サーバーに「福祉システム」「税務システム」「住基システム」が接続される。1億2千万人分すべてだ。
今のところは3システムだけだが、この先恐ろしいのは、つながるシステムが次々と自己増殖していくことだ。銀行システムとの接続が現在検討されている。
システムもさることながら個人情報のヒモづけも次から次へとされていく。国民や業界団体の都合などお構いなしだ。
「2013年にマイナンバー法が制定された時は、医療情報はヒモづけしないと言って成立したのに、約束違反だ」―神奈川県保険医協会の知念哲・事務局主幹は政府への不信感を露わにした。(医療情報は福祉システムにヒモづけされる)
あらゆる役所や業界がシステムで接続されれば、情報漏れの危険性はその分たかまる。年金機構という一つの機関で125万人分の個人情報が抜かれたのである。
マイナンバー制度は漏えいリスクを何百倍も高める。1億2千万人分の情報が一つのサーバーに入っているのだから。
抜き取られる個人情報も病歴、資産、人事情報などだ。病歴が さらされた ため就職や結婚ができなくなるケースも出てくるだろう。個人資産に関する情報が漏れれば犯罪者の標的になる恐れがある。
共通番号いらないネット代表世話人の白石孝氏は「民間分野に同じ番号を使ってヒモづけすることを安倍政権は成長戦略と言っている。成長どころか国が亡びる」と強く危惧する。
もし仮にシステムが万全だとしても人間が漏らすこともありうる。
元国立市長の関口ひろし氏は、住基ネットの切断を公約に2007年から2011年まで市長を務めた。SE(システムエンジニア)の経歴を持つ。
関口氏は「情報はハッカーじゃなくて絶対に人を通して漏れる」と言い切る。
「やぶれっ!住基ネット市民行動」の原田富弘氏は「国会で政府は安全だと繰り返しているが、原発の安全神話と同じだ」と指摘する。
個人情報の漏えいがあり損害を被っても、国民は原発事故同様、泣き寝入りするしかないのだろうか。
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