国会包囲 「孫子のためにも原発止めたい」人々のマグマ

国会議事堂前は久々に人で埋め尽くされた。原発を葬る意味を表す十字架(左)も登場した。=2日夕、写真:山田旬=

国会議事堂前は久々に人で埋め尽くされた。原発を葬る意味を表す十字架(左)も登場した。=2日夕、写真:山田旬=


 「立ち止まらずに前に進んで下さい」。制服警察官がトラメガで連呼する。国会議事堂前の歩道は人で一杯になった。おし合いへし合いしながら進まなければならない。

 「再稼働反対」「原発いらない」…シュプレヒコールが6月の空に響く。原発に反対する国会包囲集会が今夕、開かれた。(主催:首都圏反原発連合)。

 新聞報道によれば安倍政権は今月中にまとめる成長戦略の素案に「原発活用」を盛り込む。口先だけでも「2030年代までに原発をゼロにする」と掲げていた前政権とは、180度の政策転換だ。

 「警戒区域の解除」「原発輸出」…。政治もマスコミもまるで福島の惨劇などなかったかのように“前向き”なイベントのオンパレードだ。

 多くの人が危機感を抱くのも頷ける。国会議事堂前が人で埋め尽くされたのもその表れだ。

 「(安倍政権が原発活用を成長戦略に盛り込んだことは)勘弁してほしい。もし何かあったら日本は終わりだもの」。練馬区から足を運んだ男性(70代・年金生活者)は顔をしかめた。

 彼は今朝、孫と将棋を指していたという。「原発事故が起きれば孫の将来もない。孫たちの世代のために来た」。

 原子炉格納容器から戦闘服姿の安倍首相が飛び出す模型を手にして参加したのは、木工職人の男性(山梨県在住・50代)だ。模型はきょう午前1時までかけて作った。

 「自分の所の事故も収束できてないのに、原発輸出とはふざけるな」。男性は怒りを露わにした。原子炉格納容器と安倍首相の模型は、執念の作品でもある。

忌野清志郎が生きていたら、脱原発運動の広がりはどうなっていただろうか。=写真:山田旬=

忌野清志郎が生きていたら、脱原発運動の広がりはどうなっていただろうか。=写真:山田旬=

 参院選を来月に控え、原発政策をめぐる政治家の動きも活発化しつつある。野党党首も含めて6人の国会議員がステージにあがり「脱原発」をアピールした。

 菅直人元首相のスピーチの時だけは様相が違った。「カン、先ず謝罪だ」「今さら遅い」……曲りなりにも一国の元総理に向けて厳しいヤジが飛んだ。警察のSPもいて緊迫した雰囲気が漂った。

 「謝罪だ」のヤジを飛ばしたのは、福島の仮設住宅にボランティアに通う男性(60代)だ。「今の状況を作り出したのがカンだ」。男性は怒りが収まらないといった表情で話してくれた。

 「今さら遅い」は埼玉の会社員(女性・50代)だ。「(事故直後)自分が現場視察に行くよりも、すぐに子どもを避難させるべきだった」。女性は歯噛みしながら、ヤジを飛ばした理由を話した。

 原発事故の風化を危惧する向きもあるが、そうではなかった。「孫子のために何としてでも原発を止めたい」。こう願う人々のマグマは沸々とたぎっていた。

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