低賃金労働の象徴とも言えるのが、ファストフード店の時給だ。アメリカではファストフード店で働く非正規労働者たちが2013年5月、賃金アップを要求して立ち上がった。
今年は5月15日(きょう)、世界35ヵ国以上で同じ闘いが展開された。その名も「ファストフード世界同時アクション」。日本でもファストフード店が軒を連ねる渋谷で非正規労働者やユニオンのメンバーが、「時給を1,500円に」とアピールした。(主催:同アクション実行委員会)
「時給1,500円」と聞くと、「高い」と驚く方々も少なくないだろう。ところが大違い。所定時間いっぱい働いても年収279万円にしかならないのだ。やっとワーキングプアを脱出できる金額だ。1,500円支給されたとしても結婚できる収入にはならない。
正規社員の年収468万円に対して非正規社員の年収は168万円(国税庁 民間給与実態統計調査=2013年9月)。ほぼ3分の一だ。
東京都の最低賃金は時給869円。これを下回れば違法となる。ファストフード店の時給は、かろうじて違法を免れる金額だ。あまりに安い。他の業種の時給もこれに並ぶ。
埼玉県のマンガ喫茶でアルバイトをする男性(34歳)は時給900円だ。1日9時間働き、税金を引かれると月収は12万円ほど。家賃と食費を払うと手元にはほとんど残らない。男性は「最低でも時給1,200円にして欲しい」と切実だ。
生活保護を受けて暮らす女性(30代・千葉県在住)は「働いて生活保護から脱出したいが、時給850円では生活が成り立たない」と嘆く。
きょうのアクションには作家の雨宮処凛さんも参加した。「低すぎる最低賃金はワーキングプアの根源。時給を引き上げれば生活保護からも脱出できる」と指摘する。
安倍政権は外国人労働者の本格受け入れを検討しているようだ。実施されれば日本は世界規模での「賃金破壊」に巻き込まれることになる。働く人々の生活は粉々に破壊されることになる。