秘密保全法(特定秘密保護法)案が来週にも国会で審議入りしそうだ。危機感を抱く市民たちが今夜、都心で同法案に反対する集会・デモを行った(主催:フォーラム平和・人権・環境)。
集会開始直前まで冷たい雨の降る悪天候にもかかわらず2,800人が参加した(主催者発表)。
秘密保全法案は、米軍と共有する軍事情報を漏えいさせないように、と米国から持ちかけられた法律だ。国防軍創設を高らかに謳いあげる安倍政権が、重要法案として力を入れる。それだけに、集団的自衛権の行使そして交戦権に道を開くのではないかと危惧する向きは多い。
会場の日比谷野音には、戦前、戦中生まれと見られる世代が目についた。終戦直前の昭和20年(1945年)1月生まれの男性は、2番目の兄が台湾の高雄で終戦を迎えた。
「兄は志願して予科練に行ったが帰ってきてからは『戦争は絶対やってはいけない』が口グセになっていた」「秘密保護法は戦争につながる法律。日本は平和外交で行くべきなのに、軍事国家になる」。男性は真剣な表情で話した。
毎週土曜日の新宿西口に立ち反戦・平和を説き続けている大木晴子さんは、「ビクビクしたくない 大らかに生きる」と書いたプラカードを持参した。イラク開戦(2003年)の直前から始めた大木さんの辻説法は11年にもなる。
「秘密保護法は戦争につながる。個が消滅してゆく恐ろしい法律です」。大木さんは顔を曇らせた。
今は亡き筆者の母は、兄をニューギニア戦線で失っている。母はいつも「戦争はいけない。あの時代に戻してはならない」と話していた。
安倍首相は先の戦争の尊い犠牲を無にするつもりだろうか。
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