「コロナ禍は日本の医療再生のラストチャンス」。こう語るのは、炭鉱のカナリヤとして20年間、日本の医療に警鐘を鳴らし続けてきた本田宏医師だ。
本田医師がモデレーターとなった集会(「医療崩壊はなぜ起きたのか?」主催:ドクターズ・デモンストレーション)が、きょう25日、衆院会館であった。医師、歯科医師、看護師らが出席した。オンライン参加の医師たちもいた。
さいたま市内で開業する山崎俊彦医師は、危機的な状況にある小児科医の現状を報告した。以下要旨―
小児科は混んでいるというイメージがあって、そこでコロナをもらってしまうのではないかと母親が恐れ、患者が減るため診療報酬が激減している。
定期検診や予防接種を受けない子供たちが出てくる。
一日の患者数が『一桁クラブ(9人以下)』だったのが、最近は『片手クラブ(5人以下)』と言われるようになった。小児科医たちは「もう(病院を)閉めようか」と話している。
小児科医院がなくなれば、コロナが明けた後、子どもたちは診療を受けられないという事態になりかねない。
予防接種を所定の時期に受けられない子どもが多く出てくる。そうなれば、日本から根絶されたはずの病気が再び出現してくる恐れがある。 ―山崎医師の話(要旨)ここまで
将来を背負う子どもたちの健康が想像もつかない危機にさらされているのだ。田中は戦慄さえ覚えた。
看護師の佐々木悦子さんはコロナ禍でさらに苛酷になった職場環境を訴えた。以下要旨―
コロナ病棟に看護師を送り出した(既存の)病棟は人員不足がさらに深刻になっている。
コロナ前は8時間ずつ3交代だったのが、12時間ずつ2交代となった。3人夜勤が2人夜勤となった。
(苛酷な勤務に追い討ちをかけるような動きがある。看護師の日雇い派遣が解禁されようとしていることだ)
佐々木看護師は次のように語った。
患者さんを長期間継続して診てこそ、患者さんの特性や背景がわかって、それに合わせた看護を提供している。日雇い(派遣)で、その日患者さんに会って、その患者さんの全体像は把握できない。
その患者さんに対して本当に必要な看護というのができないので、患者さんにとっても決していいことではない。本当に反対する。―佐々木看護師の話ここまで
この国はコロナの感染爆発による医療崩壊から何も学んでいない。それどころか、ますます悪い方向に向かっている。根本から政治を変えるしかない。
~終わり~
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