八百長の元締めが八百長の内幕を暴露した―
「あのこれはですね、あのあらかじめ記者クラブとですね、広報室側である程度の打ち合わせをしていると聞いているところでございます…」
御存知のように2日の参院予算委員会で安倍首相が蓮舫議員の質問にこう答えたのだ。
記者クラブをめぐる話は笑いごとでは済まされない。記者クラブは裁判所の判決にも影響を及ぼすからだ。
こんな事があった。
原発事故直後(2011年)の毎週金曜日、数万人の市民が「原発の再稼働反対」を訴えて官邸前に押し寄せた。
その全景を撮影するのは、官邸前にある国会記者会館の屋上が最適だ。
フリーランスジャーナリストたちが撮影のために立ち入りを求めたところ国会記者会館の事務局から拒否された。
記者会館は国有地の上に立つ国有の建物だ。具体的には衆議院が管理する。記者クラブは居候なのである。
納税者であるフリーランスに対して使用させないというのは理屈が通らない。
フリーランスたちは2012年9月、国会記者会館屋上の使用を求めて東京地裁に提訴した。
訴えは棄却された。理非曲直以前の問題だった。
裁判所と司法記者クラブは、安倍政権と内閣記者会の関係と同様、もたれ合う仲なのである。
司法記者クラブの特権は法廷で記者席が割り当てられるだけではない。裁判所から判決文をもらったりもするのだ。
記者クラブは見返りに新聞テレビで判決の批判をしない。おかしな判決が出ても世が騒然としない大きな理由がここにある。
そのまた見返りに裁判所は記者クラブに不利な判決は出さない。記者クラブ相手の訴訟で原告の訴えが認められたという話を聞いたことがない。
判事を30年勤め、最高裁判所事務総局に2度にわたって勤務した経験を持つ瀬木比呂志氏に「司法記者クラブと裁判所は身内と考えてよいか?」と尋ねたところ、瀬木氏は「いいでしょうね」と答えた。(2014年2月27日、日本外国特派員協会で)
安倍首相と同様、記者クラブは三権分立を侵す。放置しておくと国民の権利は侵害される。これもまた安倍首相と同様だ。
~終わり~
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安倍政権はコロナ感染を奇貨として、国民の基本的人権や自由を制限してくる可能性があります。『田中龍作ジャーナル』は記者クラブメディアが役割を放棄した権力監視の役割を務めます。
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