~前編より続く~
「彼(畠山氏)を撮ってるんですよ。どうしてそれまで規制されなきゃいけないんですか?」
「裁判所の中でカメラ撮影は禁止です。カメラをバックにしまって下さい」。
同行の I 記者が乗り出してきた。
「法廷内での撮影は許可されているじゃないですか。あれは何ですか?」
「あれは司法記者クラブだから(撮影可能)です。あなた達は司法記者クラブですか?」
対応した事務官は記者クラブであれば撮影可能で、それ以外の人は撮影禁止であることの理由を説明できなかった。「『き・しゃ・く・ら・ぶ』には都合の許す範囲で取材を認める」。これが当たり前のものとして末端公務員の頭にまで擦り込まれているのである。
情報開示請求をした畠山氏はじめ「討ち入り5人衆」の取材意図は、「審査員」なるものの存在だった。カメラ撮影を「認めろ」「認めない」は二の次だ。我々は本題に戻った。
「審査員は本当に実在するんですか?」と筆者。
「ええ」と自信なげに答える事務官。
「(問題の)年齢計算はこの部屋で行ったんですか?」
「はい」。事務官はあっさりと認めた。
ボロを出してはまずいと判断したのか、奥にいた責任者らしき職員が出てきた。検察審査会の総務課長・手嶋健氏である。
審査員の平均年齢の算出をなぜ誤ったのか。手嶋総務課長は次のように説明した―
「37歳の審査員一人(11人目)を算入するのを忘れていた。10人の審査員についても(満年齢の)年齢計算がずさんだった」。これらはすでに報道されていたりネットで流されていたりする。
新しい情報としては「年齢計算をしたのは、事務局員(裁判所事務官)一人だった」ということだ。
驚いたのは、「今のところ処分は考えていない」ということである。口頭でのけん責さえもないというのだ。
人民裁判ではないかという見方もあり、検察審査会を批判する向きは多い。ただでさえ疑念を抱かれているところに「年齢計算ミス」である。検察審査会の信用をさらに失墜させることになった。
にもかかわらず「全くお咎めなし」というのである。民間会社では考えられないことだ。開いた口が塞がらなかった。
検察審査会事務局で取材を進めているとさらに驚くことがあった・・・・・・
(つづく)
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