吉野復興相が、住宅支援を打ち切られた原発事故からの自主避難者たちに面と向かって「事故から7年も経ったのだから、そろそろ自立したらどうかね」と問題発言をしていたことが、分かった。被災者を支援する行政のトップとして責任が問われることになる。
吉野復興相の問題発言は12日、大臣室で自主避難者らと面会している時に飛び出した。
きょうの定例記者会見で田中は吉野復興相本人に事実関係を確認した。
復興相は「皆さん(避難者)とは偶然にお会いしたので、正式に大臣室で会った訳ではない。コメントは控えたい」とかわした。
アポなしで大臣室に行けるのだろうか?「偶然にお会いした」とは珍妙な言い訳だ。
吉野大臣は実際、もっと酷い発言をしていたのだが、田中はそれを暗に仄めかす程度に留めておいた。
「否定されるようでしたら(全部話しましょうか)・・・」と畳みかけると、復興相は「否定はしません」と認めた。
自主避難者は行政による避難指定区域外からの避難者だが、かつて住んでいた地域は土壌の放射線量がまだ放射線管理区域並みにあり、子どもの健康などを考えると、帰還できない。
帰還しても生活基盤は破壊されている。帰ろうにも帰れないのである。さりとて移住先で満足な収入を得るのは極めて困難だ。
国と福島県は自主避難者への住宅支援を今年3月末で打ち切ったのである。激減緩和措置として2017年度は月額3万円、2018年度は2万円が支給される。だが2019年4月からはゼロ円となる。
自主避難者の数は2万6,601人(福島県避難者支援課まとめ=昨年10月末現在)。これだけの数の人々が生活苦と明日をも知れぬ不安を抱えて暮らす。中には追い出しの訴訟をかけられている世帯もある。
山形に自主避難している男性(60代)は「私たちはどこに住めばよいのか?」と途方に暮れていた。
吉野大臣の発言は、復興支援行政の最高責任者として現実認識を欠く。原発事故は東電と国の責任である。それを避難者の自己責任に転嫁するのは、行政の責任放棄である。
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